恋祭*後
声を掛けてきたのは、あたしの幼なじみであり、初恋の人、翔也だった。
久々に見た翔也は、全然変わらず、無邪気で、どこか大人びていた。
「ユイ、久し振り☆」
「久し振り!!」
「相変わらず可愛いね☆彼氏いんの?」
「ううん、いないよ」
「そっか…!」
翔也がちょっと喜んだ気がした。
「どうしたの?一人?」
「ううん、合流したいんだけど、迷っちゃって…」
事態を説明すると、待ち合わせ場所に案内もらう事になった。
「じゃ、行こ」
そう言って、手を差し出された。
「え…//」
「はぐれないように♪嫌?」
「ううん!ありがと。」
手を取った。
それからは二人とも無言だった。
「あ、ラビ見えた!ありがとw 翔也いなかったらどうなってたか…。じゃあ…またね!」
「待って」
「ん?」
「…ユイ、ずっと好きだった。付き合って欲しい。」
………え???
あたしに…だよね!??
名前言ったしね?
それは、突然だった。
こんな出来事、夢にも思わなかった。
叶わないと思い、忘れていた初恋。
もっと早く伝えてくれればよかったのに。
今は、あたしは――
「…」
「…返事期待してるから!」
そう言って、電話番号を書いた紙をあたしに渡し、人混みに消えてしまった。
「あ、ユイ〜!」
「ラビ…。ごめん。今日は帰るね!今度遊ぼう!!」
「え!?ユイ…??」
こんな気持ちでラビに会いたくなかったし、いろいろ考えたかった。
あたしは、翔也が好きだった。
翔也はあたしの事が好き。
でも、今のあたしの好きなのは―――
ラビ。
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