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屋敷の本
LITTLE BROTHER・ELDER BROTHER(6)



…というか…この状況
誰かに見られたらやばくないか?
アツキは前回と相変わらず俺の頬を撫でてる。
…ハタから見たら男同士でキモくないか?
妙に体がくっついてる気がする…


ガチヤ…

「あのーお茶持ってK…」

不意に開けられたドアからみのりが顔をだした。

「「…」」


おいおい…なんなんだそのパターンというかお決まりなお約束的な展開は
みのり…空気読めよ…
間違っても大声を出すんじゃねぇぞ…



「ふっ不潔だあああぁぁ!!!!」


ガッシャーン!

…とお茶が入ってたグラスが床に落ちて割れる音と、
みのりの叫び声が孤児院に響き渡った。


「どうしたんスかね、みのりさん…」

「…」


そのみのりが去った後もみのりが孤児院の廊下をバタバタと走る音や
「不純」や「近親相姦」など言いたい放題なみのりの声に、頭が割れる様な痛みがしたのは、絶対に気のせいでは無い。

しかもアツキはこの状況に何の危機感も無いらしい。
っていうかその口調さっきと違くね?
無自覚か、計算か…って今はそれどころじゃねぇだろ!!!



「誤解された…」


「は?」


「俺とお前がデキてるって思われた…」


「あーそか。兄弟ってあんなくっついてちゃ駄目なもんスかね?」


「いや、知らん。」


しかしこの歳であんなくっついてたら流石にドン引きか…


「じゃあ俺が誤解、ときに行ってくるんで
兄貴はグラスの片付けヨロシクっス。
兄貴、誤解とくの下手そうだし」



言いながらみのりの後を追うアツキ。
誤解とくの下手で悪かったな。
ってかお前本当無神経だな。
…この間ななかが

『天然無神経萌え〜』

とか訳の分からん事をほざいてたが天然無神経とはコイツの事を言うのではなかろうか…


そう思いながら俺は割れたグラスの片付けに入った。


「ソニアス君っ!!!」


「うわっ!!」


声の主はリンリだった。
…正面から抱き付いてきたため、しりもちをついてしまう。
抱き付いて…抱き付いてきた!!?


「うわああぁっ!!やめろ!
俺にさわんじゃねぇよ!!」


「ソニアス君ソニアス君〜
すっかり大人になっちゃって!!」


「痛い痛い!!!」


リンリが泣きながら俺を抱き締める力を強める。
俺が泣きてぇよ!!


「っつーか俺が女性恐怖症なの知ってんだろ!!嫌がらせか!」


「だって〜」


あ、全身から冷や汗やら鳥肌が…


「いっいい加減離せっ!!」

「とかいって、離してほしいのに女の人に手をあげない事、ソニアス君の良いところだよね〜」


「離してほしいって分かってんなら離せ!」


「ちぇっ…分かったよー」


リンリ…相変わらずな女だな
俺は鳥肌がたった腕を擦った。


「んで、アツキ君とはどうだったの?」


「あぁ、兄弟だった。」


「そっか!!良かったねっ
って言うか、貴方本名あるならちゃんと答えてよ〜
しかもシルクでしょ?
私のネーミングの無さが一目瞭然じゃない…」


そう言ってリンリは頬を膨らませる

「…ソニアスでいい」


「ふぇ?」


「だから、ソニアスが良いんだよ。」


「…」


「母親が付けた名前よりお前が付けた
ソニアスって名前のが良い。」


「えへ…ありがとう」



多分頬が赤くなっているだろう俺と、
照れた様にはにかむリンリはグラスの片付けを続けた。



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あきゅろす。
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