『これでおあいこな』 ※前回の続き ━━━ 始まりは、バチンッと何かを叩くような音から。 「………テイトさん?」 「何だ」 「…………お前が傷増やしたら意味なくね?」 叩かれた頬を抑えながら訊ねれば、ふいっと目をそらされた。 「…………おいこら。人の傷舐め「うわああぁああ!もうお前口開くな!!!」…といてその瞬間殴るのは酷いと思うぜ」 「────忘れろ」 顔を赤くしながら言う姿は弄りがいがあるのだが… いかんせん消毒という物は、一瞬痛みが走る。 そこに正気に返ったらしいテイトの平手打ちを食らったのだから、二重の意味で痛かった。 それを忘れろとはどうゆう了見だ。 「とゆうか、お前からやっておいて何を今更」 「……………知るか」 「………目を見て言えって言ったのは誰だったかなー?」 「─────っ!!!」 ひょいっと覗き込めば思い切り逸らされる前に、頭を掴んで固定。 ただでさえも赤い顔が耳まで赤くなった。 どことなく恨めしそうに睨まれたって、さっぱりわからない。 「………んで」 「は?」 「何でお前そんな普通なんだよ!」 「いや意味わかんねぇし」 普通じゃ何かいけなかっただろうか。 とゆうかテイトがそこまで慌ててると逆に冷静になると思う。 「さっきのは忘れろ。夢だ。犬にかまれた感じで一つ」 「そこまでか。キスしたわけでもないっつのに」 「きっ……!?馬鹿言うな!」 ここまで楽しい反応をされたら、返さないわけにはいかないだろう。 「…………初々しいなあ…」 「撫でんじゃねぇよ」 頭を撫でていた手を振り払われたので、そのまま来い来いと手招き。 警戒しながらもこっちにきたテイトの両肩をがっちりと掴んで逃がさないようにする。 そして素早くわざと音が鳴るように、頬に軽くキスしてみた。 「〜〜〜っ!!」 「これでおあいこな」 「ふっ……ざけんな馬鹿ミカゲーっ!!!」 「とか言いつつ顔が赤いぜ?」 「────殺す!」 さらに傷が増えたのは、自業自得だな。 END |