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平原をはしる一本の小道。2人は積まれた木箱に腰掛け、馬車に揺られていた。馬車はレールの上を走るごとく小道をゆく。


「すみません…」

「ううん、気にしないでよ。元々あそこには用があったんだ。それより大丈夫?気分が優れないとかない?」

「それは全く大丈夫なんですが……もうなんとお詫びすれば…私のせいで、ごめんなさい…」

「アナタが悪いんじゃないヨ、元気だして!」

そう言ってナビィが少女のまわりをくるくると飛ぶと少女はうつむいた顔をあげて、申し訳なさそうな笑みを作った。
リンクはというと、その隣でふと思いを張り巡らせる。

(それにしても…)






遡ることおよそ半時間。リンクは少女を器にした幽霊と対峙していた。

「苦しんでる幽霊?」

「ソウダ。コノ先ノ森ノ奥深カクニ眠ル神殿ニ、彼女ハイル」

彼が言う"森の深くに眠る神殿"、それはこれからリンクたちが目指す場所を指していると確信したが、"彼女"については疑問が残った。

「彼女…って」

リンクがぽつりと声をもらすと、ジョンは疑問に応えるよう語り始めた。

「彼女ハ…生前俺タチ2人ハ特別ナ仲ダッタ。デモ」

彼と少女とで重なった声が淀んだ気がした。一瞬、瞳に陰がちらついた。

「離レ離レニナッテ死デシマッタンダ」

そのなれの果てがこの姿になるということをジョンは悲しそうに呟いた。

「…生前ノ悲シミニ暮レテ彼女ノ魂ハコノ世ニ留マリ、砂漠ノ民ノセイデ苦シミノ鎖ニ捕ラワレテシマッタ。モウ過去ノ彼女ジャナクナッテシマッタ」

「砂漠の…」

それはきっと、ガノンドロフ。リンクとナビィは互いに顔合わせる。

「ソコデオマエニ、彼女ヲ解放シテモライタイ」

「……どうすればいい?」










「あの、それでジョンさんは本当に」

少女の声が耳に入って不意に意識が呼び戻された。
少女は取り憑かれていた間のことはまったく覚えていないらしく、先ほどまでリンクとナビィはありのままを少女に語っていたところだった。

「あ、ああ。…ポウだからね。取り憑いた体から離れたら消えちゃうんだ」

もう二度と取り憑くことも、俺たちの目の前に現れることもない。本当に"消えて"しまった。
だから今となっては彼の頼みを果たしたところで何にもならないし、破り捨てたところで責めるたてる者もいない。
が、少女は頑なにその方針に首を振った。
リンクも出来るだけ約束は破りたくないし、ジョンの信念を無駄にはしたくなかったので、少女が心優しい人間であることに感謝した。



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あきゅろす。
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