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急いで自分の上に倒れてきたものを退かしてふとそれを見ると、そこには黒い炎をあげながら灰になっていくスタルフォスがあった。

「これは一体どういう…」

まさか、と思い扉の無くなった小屋の中を覗いてみる。薄暗い部屋の中には一人の少女が丁寧に剣を在るべき鞘に収めていた。――間違いなさそうだ。

「あっ、リンクさん!」

少女はこちらの存在に気が付いたようで大手を振って勇者らを迎えた。
そうして彼女は開口一番「大丈夫ですか、怪我をしてはいないですか」と尋ねてくる。もちろん怪我はないこともないが、傷だらけの彼女を目の前にしてわざわざ手当てに差し出すような怪我でもなかったので、勇者は首を横に振った。怪我なんかのことよりもこちらから尋ねたいことが沢山あった。

「ネエ、ちょっと聞きたいことがあるのだけれど」

ナビィがそこまで言うと、リンクの方を向いた。どうやら先駆けて彼女に尋ねる機会を作ってくれたようだ。リンクは頷いて少女に尋ねる。

「さっきの魔物は君がやったのかい?」

「え?ええ、…そうですね。自分でも少し驚いてます。ここまで動けるとは正直思っていませんでした」

「…それで、その剣は?君の?」

彼女が握っている物を指差す。出会ったときには握られてはいなかったはずだ。

「これは小屋の片隅に立てかけられていたんです。多分…私のものだと思います」

「…そっか。とにかく無事でよかった」

リンクとしては他にも色々聞きたいことはあったのだが、記憶が曖昧となっている彼女にこれ以上のことを聞いたところでしっかりとした答えは得られそうにもないので質問を打ち切った。今は現状を知りうるだけで十分だと思った。

「リンクさん、私色々考えたのですけれど」

慣れない手つきで剣を腰にさしながら少女が再び口を開いた。

「これから旅に出ようかと思います」

「……はいい?」

さらっと突拍子もないことを言われ、流石の勇者も面食らった。これから買い物へ行ってくるようなノリで言われては誰だって同じようなリアクションをとるだろう。

「あ、あのネ、外は魔物がたっくさん居るのヨ!女の子が一人旅だなんて危険ダヨ」

「ナビィ、心配してくれてありがとう。だけれどこのままここにいるわけにもいきません。旅して世界を回っていれば私を知ってる人に出逢えるかもしれない、故郷が見つかるかもしれない」

「だけど…」

「大丈夫ですよ、私結構強いみたいですし」




 

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