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設定お題バトン用SS小説。山→ツナ






ナポリを見てから死ね。
有名な言葉だ。夏の、この日。俺はその名句を静かに胸中で呟いた。
足どりは軽い。
道端に落ちるゴミをひょいひょいと避けて足は進む。進む。
ナポリの夏は熱かった。



俺はツナを探している。
なぜならツナが逃げ出したからだ。余りの缶詰に耐え切れなくなったツナは逃げ出した。
本部から聞いたナポリにいるという情報はあるのに、ツナはなかなか見つからない。
(そんなに大変だったんなら少しくらい話してくれてもよかったのにな、)
でもあの控え目な親友の事だ。そうゆう弱音はきっと吐くまい。
それに胸がきゅっと締め付けられて、カーッと熱くなり、小さな笑みも零れた。
愛しいな、しょうがないな、そうゆう気持ちが混ざり合って胸をチクチク刺すもんだから俺はいったん足を止めた。



「ナポリが死なないうちに見ておけ」街に入る前に露店のじいさんに言われた言葉だ。
名句はどこにやら、今なんかはそんな風に皮肉られるみたいだけど、どうでもいい。どうでもいいっていうか興味がなかった。
確かにあっちこちにゴミは落ちてるし、人はごった返しだ。(観光客ではないんだな)
俺が日本にいた頃の「陽気なイタリア」のイメージまんまのナポリ。けど夜景は綺麗。ツナはそれが見たかったのかな。俺も見たいな。ツナと、二人で。
俺の中のランキングはツナが1番上で次が野球。それからだいぶ下にナポリがあった。




前に一度、ここに来た。もちろん任務。やけに乱暴なカモッラ達の躾。(躾?)
その時は雲雀も一緒にいたなあ。俺は一人懐かしさに笑った。
あいつはカモッラ達を片っ端からのしていった。俺にはまだよくわからないイタリア語を喚きながら逃げるカモッラ。追い掛けて、一人も逃がさなかった雲雀。

観光しないで雲雀は帰っちまったけど、あいつってば本当、そういうのに興味ないのな。
夜景は並森より綺麗なのに。
パラッツォ・レアーレ・ディ・ナーポリには行けなかったから、今度はツナと行こうって思ってた。

ツナ。
「ツナ。そうだツナ」
どこにいるんだろう。
ナポリの熱気に再び足を上げた。











END













そのあと10代目を見つけた山本さんは夜景を楽しみます。


ただの観光話になった。



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