不意に奪ったプレゼント1(ヒバツナ/完) 「…あ、」 「…やあ」 目があった途端に逃げられた。沢田綱吉。いつも群をなす僕の嫌いな草食動物。茶色い髪の小さな少年。不思議な赤ん坊といつも一緒にいる少年。僕の足は自然と彼の後を追う。逃げれば追う。当たり前でこれは肉食動物の条件反射だ。廊下を曲がりきらないうちに彼はたやすく僕の腕の中へ収まった。 「やあ、」 「こ…こんにちは、」 「君、なんて名前だっけ」 「…つ…なよ…し…」 「沢田綱吉。」 (知ってるよ。沢田綱吉。君の名前ぐらい、) 可哀相に混乱して下がった眉を見ても腕を緩めない。捕まる君が悪い。 「綱吉、僕・今日誕生日なんだ」 「あ…?おっおめでとうございます…」 「プレゼント欲しいな」 そんなに動揺しないでよ。可愛くなるでしょ。ねえ綱吉。僕は綱吉に顔を近づけた。 「…」 「君、唇柔らかいんだね」 不意に奪いたくなる。あの視線も躯も唇も。 何故だろうね沢田綱吉。僕は君を欲しいのかもしれない。 「ありがとう、」 僕はきびすを返して立ち去った。 END ハピバ雲雀さん |