A(完) 随分と感情豊かになったものだ。持田は走った。綱吉も走る(引き摺られている)。扉を蹴り破ると真っ青な空。 屋上、だ。 綱吉の小さな呟きが耳に残った。振り返ると空を見上げ見惚れ見つめる綱吉が居た。痛々しい程に澄んだ瞳に流れる雲が映っている。 「沢田」 持田は綱吉に触れた。 唇が唇へと自然に誘われたのだ。綱吉は、拒まなかった。あの空みたいだと思った。そんな事を考えながら口付けた。 空は拒まない。何も拒まない。だからオレ(持田)という一時の風も拒みはしないのだろう。風はいつも空にある。しかし風の中に空はない。 持田の中に綱吉はいないのだ。 (沢田綱吉。沢田。オレはお前の風・だ。) ふわりと、離した唇の間に風が通った。 End 怯えるように拒まれれば悲しいし言葉を交わすように繋がれば笑える位嬉しい、温もりを感じれば泣きたくなる位幸せ。 日記log 070731 ← |