La ragione per apparire3 スクアーロ・綱吉は呼び掛ける。 「いいんだ。入ってて」 そう言ってプールサイドに腰かけて裸足になった足で水遊びを始めた。そんな綱吉にしばらく、じっと魅入って動けなかったスクアーロは、はっと気付いた。今更あがるのもタイミングが悪いというものだ。スクアーロは再び浮かぶ事にした。綱吉の足が水を蹴って跳ねる音が響いた。 チャプチャプとした振動は絶えず、しかしリズミカルではない。小さな揺れがスクアーロに届いた。オレ、と綱吉は続ける。 「オレ、泳げないんだ」 綱吉は呟いた。独り言みたいだったからスクアーロは黙っていた。なんて返せばいいのかわからなかったからというのが本音だ。気休めなんて要らないだろう。そして泳げるスクアーロに同意はできない。だから黙った。 水面の振動が止まった。 「楽しい?」 「さぁなぁ」 生きる事の何が楽しいのだろう。殴られて馬鹿にされ、この世界は息苦しい。陸にあがった魚の気分だ。(もちろん魚になった事はないのでわからないが) 「オレが泳ぎを教えてやろうかぁ、」 身を起こして言った後スクアーロはすぐに後悔した。もしザンザスにこの事知れたら殴られるだけでは済まないだろう。 ボスはボンゴレに御執心だ。 ←→ |