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La ragione per apparire(スクツナ)

空が碧い。雲は酷く遅い。そして暑い。太陽はじりじりと照り付け晒される場所をこんがりと焼いているようだとスクアーロは思った。ちょっとだけ顔を動かすとチャプンとすぐ近くで水音が響いた。一緒に躯も揺れた。




La ragione per apparire




ザンザスから殴打の嵐をうけたスクアーロはもたれかかった窓から外を見た。今日の理由はなんだったか考えるのも馬鹿らしい。酷く眩しい光が先程からちらついている。窓の外の光。それが煩わしい。瞳に映ったのは庭にあったプールだった。無性に飛び込みたいと立ち上がったスクアーロにヴァリアーの面々は疑わしげに見つめる。ベルが笑っていた。


キラキラと太陽の光を反射するプールはボロボロのスクアーロを引き摺り込むように受け止めた。温いプールの塩素くさい水に鼻の奥がツーンとした。浮かぶことはなく、沈む重い躯にようやく正気になってコートを脱ぎ捨てた。コートは水底に沈んで浮かばない。この季節には相応しくないそれは見た目こそ重そうだったがそうでもないはずだ。なのに浮かんではこなかった。
スクアーロの躯は浮かんだ。人の肺には空気が入っているから・けれどスクアーロが浮かぶのは頭が軽いからだ。そうベルは笑った。



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