真実と事実は時として異なる(ごくつな/完)
獄寺君がチョコレートをくれた。イタリアのチョコレートだ。イタリアのお土産と彼はオレにそう言って嬉しそうに渡してきた。だからオレも嬉しそうに受け取った。実際嬉しかったし、でも外国のお菓子にいい思い出はないから半ば不安な気持ちを引き摺った儘家に帰った。
それはホワイトチョコレートだった。確かに箱にMAID IN ITALYと記されていて不安な気持ちは益々大きくなった。
綺麗な丸型のチョコレートが均等に整列させられている。なんだかパックの卵みたいだ。
酷く緩慢にオレはその一つを持ち上げ、口に運んだ。
ぱく
むしゃ むしゃ
ぱく
ぱく
ぱく
美味しい。
日本人の口にも合う。あの外国独特の味もない。あ、と呟く。
もしかしたら獄寺君はわかっていたのかも知れないとふと思った。
やるな、獄寺君。
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実話
20070518
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