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ティピカルキャラクター(山→←ツナ/完)






山本武が自分は沢田綱吉に恋をしているのだと自覚したのは実にその沢田綱吉と出会って四年目の夏だった。
高校一年。夏。とても暑苦しいのはここ数年の流行である地球温暖化のせいだなと山本は一人納得した。
山本のチャームポイントいやアイデンティティのひとつに天然を加えるとしたら誰もきっと反対はしないだろう。
だって山本は地球温暖化をただの流行だと思ってるから。
かつて現れただんごの三兄弟や多摩川に現れたあざらしのように一年で終わるようなブームだと思っている。
山本の中で終わらないものは野球と綱吉だけだった。
やけに綱吉が気になる。それすらも自分の中でブームだと思っていた中学時代。そして恋だと気がついた高校一年(夏)。
いったいなにがきっかけだったんだろうなあと想を巡らせてみると意外にも不意にだというしかなかった。本当にいきなり気がついてしまったのだ。
俺はツナの事が好きなのな!
それはいままで築き上げてきた爽やかな頼れる男・山本武というイメージをぶち壊すには十分過ぎるほどのダメージを綱吉に与える事必至なので利口にも山本はすぐに口外したりしなかった。

夏休みに入って野球部が忙しくなる、そんな時に急に綱吉に会いたくてしかたなくなる。
野球部の奴らでさえ彼女を作る事を躊躇う(しかし悲しいかな、この時期は一番球児がモテる時期でもある)この熱い夏!目指すは彼女持ちではなく甲子園!な、夏。山本はレギュラーにしてなんと野球そっちのけで綱吉の事を考えていた。
ついには欲望の赴くままに部活が終わると毎日綱吉の家へと向かった。

ここまでは山本青年の片恋ストーリーである。そう、なんの変哲もない片思いの話。しかし山本青年とその山本青年が恋する沢田青年においては少しばかり違っていたのだ。
好きな子の家に毎日訪問してしまう山本も山本だったけど、そんなこんなで毎日会いに来た山本を異常と思わない綱吉も綱吉ではないか。
快く山本を家へと迎えて楽しく会話してそして夏休みの課題に頭をつきあわせて取り掛かる。完璧に夏休みライフをエンジョイしていた。
山本は最近毎日うちに来るね。
ある日綱吉がリボーンに何気なしに話しかけてみた。だけど「おまえの事が好きなんだろうよ」の一言で返されて思いがけないその言葉に衝撃をうけた。
いまや幼稚園児並の身長を持つようになったヒットマンはこの時ばかりは気遣いはなかった。というよりいい加減進展のない二人に苛立ちがつのってきたのだろう。

好きっておまえ、愛だからな。ティ・アモだ。こんなに簡単に言う言葉じゃねえがなにせ山本は四年間おまえに片思いしてやがったんだ。十分な重みがあるだろう。

さらにおいうちをかけるようにはっきりと告げた。ヒットマンは意地が悪そうに唇を歪めて綱吉を見下す。しかし綱吉はそれところではない。
真っ赤な茹蛸となって慌てふためいた。
えええ。どうすんの。明日山本と一緒に遊びに行く約束したのに!と酷い取り乱しようだ。
意識してぎくしゃくしちゃうよとリボーンにすがりつく始末だ。(もちろん俺に触るな、とぶたれた)
リボーンはその動揺ぶりはわかるが、まず否定しないのかと呆れた。なるほど、無自覚なだけでこちらもそれなりに天然だったようだ。
似た者カップルの恋路はようやく始まったばかりである。







おしまい














なんだこれ


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