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プラトニック・ラブの本懐(バジツナ/完)




バジル美少年は無垢であった。純粋、純潔、その他諸々の表現が酷く似合う、美少年であった。また、バジル美少年は無垢であると同時に無知だった。赤ん坊は幸せのコウノトリがキャベツに包んで運んで来るのだと信じて止まなかったし、正義は必ず悪に打ち勝つのだと思っていた。しかもそれらを信じている姿が似合ってしまうのだから誰もどうしようもなかった。バジル美少年は勧善懲悪の物語が好きだった。そしてやはり正義は必ず悪に打ち勝つのだと信じていた。自分が正義か悪かも知らないのに。
無垢で無知であるという事は真っ白である事だ。何も知らない。何ものにも染められる事を知らない。バジル美少年が美少年のままでいられたのはそれのおかげでもあったのだ。



バジル美少年はイタリア生まれ(キャベツの葉に包まれて。)イタリア育ち。しかし彼は日本を第二の故郷と言い張るほどに日本に思い入れが強かった。10代目が、門外顧問である「親方様」の息子が住まう日本。親方様から見せてもらった写真を見たバジル美少年は一目で恋に堕ちてしまった。いたって平凡な顔。少しだけ細身、というより華奢だ。ただそのくりくりとした瞳が彼の青い澄んだ瞳に食い込んだ。無垢なものは無垢なものに惹かれるのだ。いつの日にか10代目を守れるような強い部下になるのを夢見てバジル美少年は日々修行に明け暮れる。それと同時に日本の勉強も欠かさなかった。得に日本語、古くからの日本を学ぶにはピッタリな時代劇。嗚呼なんて素敵なジャパニーズサムライ!嗚呼なんて素晴らしきジャパニーズカルチャー!サムライは約束を絶対に守り(待ち合わせに必ずといっていいほど遅れるイタリア人とは違って)サムライはただ一人の為に尽くす(そう、10代目の為に!)のです。バジル美少年は何度も繰り返して時代劇を見た。こんな格好良いサムライのいる国日本。10代目の住まう国日本。それこそ刷り込みにも似た教育。親方様も予想外である。



無垢であるからこそ何色にも染まる。バジル美少年はすでに日本一色だった。
「拙者は沢田殿をお守り致します!例え守護者になれずともこの気持ち・絶える事はないでしょう」それがバジル美少年の口癖だ。
そんなある日とうとう夢叶って日本へ行く機会が出来た。もちろん命懸けの大仕事と共にであるがそれでも彼は構わなかった。それがバジル美少年から10代目への、初恋に付き物の愛の障害にへと成り得るだろうか。いや、ならない。しかし、ふと彼は考えた。ジャパニーズサムライは自分より目上の人を愛してしまった時はどうするだろう。そればかりは学習しなかったバジル美少年は悩んだ。悩んで悩んで困り切った彼は間違った方向へベクトルを向けた。リングがレプリカだとは気が付かないで彼を追い掛けるスクアーロにバジル美少年は、彼には大きすぎる三角定規みたいな鉈を振り回して叫ぶ。
「沢田殿をお守り致すのは拙者だけで良いのです。拙者は沢田殿への愛の為に闘い愛の為に死んでみせる!だってそれが忠義。それが愛。サムライとは愛する者の為に死ぬのでしょう?」



















END






























バディル君→ツナ


あきゅろす。
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