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ナポリタン(髑髏/完)



人という生き物はおおよそ自分勝手で独りよがりで孤独な生き物だ。彼女の敬愛する骸が言った言葉を反芻した。
(脳内リフレイン)
もう一度繰り返した。
髑髏は何時も通りに住家に戻って何時も通りにソファに腰掛け何時も通りに縮こまった。まるでそれが何時も通りの決まった行為である事を知りながら変えようとはしなかった愚かしい人間であると知りながら。
(ややこしい)
何時も通りの行為を繰り返してはいけません。繰り返してもいいのは妄想・所謂、幻術の中だけです。骸がそう言った。
(脳内リフレイン)
何時も通りの行為を繰り返すのは人間だけです。愚かしい人間だけなのです。はいそうですね骸様。髑髏は呟いた。そしてソファからずり落ちて床に尻餅ついた。スカートがめくれ、皺くちゃになったけど気にも止めない。
(独りよがりだから)
自分勝手な人間だからしかたないと頷いた髑髏は横にあった矛を手にした。大切な三股の矛だ。一見するとフォークに似たソレは人を串刺しにしてしまえそうな位鋭い光を帯びていた。
(私はナポリタン)
刺されるより巻かれてぐちゃぐちゃになってしまえばいい。そしてオシマイ。手にした矛をその儘自分の腹に突き立てた。最後にソファの柔らかな感触にガチリと歯を噛み合わせる。ぐるぐると矛を回せば腹は徐々にナポリタンに変わっていった。パスタに絡める真っ赤なソース。
(噫!妄想しませう)
腹が消えて左足が消えて右足も大好きな左足の後を追って、次に左手が消えた。矛を持つ右手が消えてしまってもフォークは回り続けた。ぐるぐるぐるぐるぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ。綺麗なナポリタンになった時に髑髏は、はた・と気がついた。
(ボスはボンゴレスパゲティがお好きかしら?)
人という生き物はおおよそ自分勝手で独りよがりで孤独な生き物だ。彼女の敬愛する骸が言った言葉を反芻した。
(脳内リフレイン)





リフレインアンドループバットエンドレス!









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