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青春アウトロー(山ツナ/完)


手がびりりと痺れた。バッティンググローブを外すとやや赤く腫れた掌がじんじんと外気の冷たさに震えた。
(キャッチャーって大変なのな、)
お遊びでキャッチャーになってみた。キャッチャーの奴がピッチャーになって山本に球を投げた。ミットを使わずにただのグローブでとったのがまずかったのか手の腫れは中々引けなかった。
(あ、)
ふとブロック塀とバックネット越しの通学路に綱吉の姿を認めた。しょんぼりと(本人にそんなつもりはないのだろうが山本にはそういう風に見えた。きっと他の人にもそういう風に見えると思う)肩を落としたように歩く友人。少しボリュームの多い髪が歩く度に左右にひょこひょこと揺れた。
(こっち向け。ツナ、こっち)
何となくそう思った。得に用はなかったけど。こちらを向かせてどうするつもりなのだろうか。笑って手を振る?(いいや違う)バイバイまた明日・って言う?(いいや違う)綱吉は以外にも速い足どりで段々と山本から(学校から)遠ざかる。焦れたような慌てたような気持ちになって山本はフェンスにしがみついたけど何も出来なかった。
腫れた左手がびりりと痛い。







野球部山本
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