山茶花の小説
ビッチなカノンとメルヘンなラダ  3 

 次に目が覚めた時には、全裸でベッドの上に転がっていた。
 どうやら、恥ずかしい事にホンの少しばかり気を失っていたらしい。体のあちこちに残るわけのわからん痣と、キスマークが情事の激しさを物語っている。
 水音が聞こえるので、ラダマンティスはシャワーを使っているようだ。あいつが出て来ぬ間にさっさととんずらする事にする。

 ベッドから着地した瞬間に、散々蹂躪された蕾からあいつの精が流れ落ちてその感触にぞくぞく〜っとおぞけが走った。
 も〜金輪際、ラダマンティスなんかと係わり合いに成るのはゴメンだ!

 カリカリしながら服を着て、アテナに持たされた物を回収した。
ホントはすぐにでもあの男の匂いを洗い流したかった けど、長居をしてもう一ラウンドなんて事になったら目も当てられないので、さっさと出口へ向かう事にする。
 途中フロントの人の目が突き刺さるようだったが、流石に声をかけてくる事は無かった。

 駐車場に向かうと黒塗りの車が滑るように近寄って来て、俺の前でドアが開いた。
「よぉ、ご苦労さん」
 車に乗ると、運転席から耳にイアホーンを着けた咥え煙草のシュラが目を向けてくる。
「首尾は?」
「もちろん」
 シュラは頷くと、手元のビデオカメラの再生ボタンを押した。
 イアホーンを外して俺にも聞こえるようにすると、自動車を発進させた。

『…あぁっラダマンティスッ』『くっ…カノン、俺ももうイキそうだ』『ダ…ダメ…んくぅ…まぁだ…いっ…いっしょがいっ…んっ』『カノン…俺のだ…お前は俺の物だからな。』『あぁん…ラダぁ』
 
 濡れた肉が打ち合わされる音と共に聞こえたのは紛れも無い自分の声で、差し出されたビデオの画面には冥界の男に組み敷かれてよがり狂ってる自分の姿。

「…趣味が悪いな。」
「ホンのひとカケラなりとも、オレの気分を味わってもらおうと思ったモンでね。」
 憮然とした俺に対して、シュラはにやりと人の悪い笑みを浮かべた。

「やれやれ、コレで肩の荷が下りた。…いくらアテナのご命令とは言え、他人の秘め事を撮影して来いなんて無茶過ぎるだろ。淫売の真似事までさせてすまなかったな。」
「…もう済んだ事だ。と言うより、なぜアテナはこんな事に興味がおありなんだ?」
 オレはアテナに押し付けられた、超小型のカメラをシュラに渡した。録画なしの発信だけのタイプだから、虫のように小さい。

「冥界のパンドラ様や海界のジュリアン殿とご一緒に、夏コミ?とやらに出される同人誌のネタになさるそうだ。」


 カノンは、いくら神様とは言え暇になるとろくなことを考えないなと思った。


                    終わり  
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あきゅろす。
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