山茶花の小説
ビッチなカノンとメルヘンなラダ 2
アクロポリスに博物館、闘技場跡に修道院に鍾乳洞など一通りギリシャ観光をした後で、ラダマンティスの方から提案があった。
「スニオン岬へ行ってみたいだと〜」
「いけないか…お前の話を聞いて以来一度行ってみたいと思っていたのだ」
クソ真面目な顔して覗き込んでくるなよ。
「言っとくが、あんな所何にもないぞ。ましてや今では海底神殿に繋がる通路みたいになっちまってるし、今から行ったんじゃあ帰ってこれるのは夜中になっちまう」
「それでも構わない」
俺が構うわと怒鳴りたかったが、アテナに仰せつかった手前シブシブ最短ルートを探す。
行きの車の中でもえらく上機嫌だったが、適当に聞き流しておいた。
スニオン岬は相変わらず殺風景なところで、俺はしみじみ13年前のことを思い出していた。
「ここに、お前は閉じ込められていたのか…」
ああそうだよ、オイタが過ぎて実の兄貴に閉じ込められてましたよ。
「幼いお前の寂しさ、心細さが手に取るようだ」
なんで、お前の方が傷ついたような顔をしてるんだよ。
その後はまた車に揺られてアテネまで戻り、パブで軽い食事と酒を嗜む頃には結構な時間になっていた。
ラダマンティスを定宿にしているホテルの前まで送り届けて、踵を返そうとしていた俺は急に腕を曳かれて振り返った。そのまま、顎を捕らえられてくちづけされる。
「な…いきなり何をする!」
ラダマンティスの手を振り払って咎めたけれども
「よせ、人が来て困るのはお前の方であろう。第一、俺はまだ『楽しませてもらってない』ぞ」
…それは、やっぱりそう云う意味なんだろうな。
思わずフリーズしてしまった俺はやすやすとラダマンティスのヤツに抱き寄せられ唇を奪われてしまったが、歯を食いしばって舌を入れられるのだけは拒否した。
「ムードの無いヤツめ。まぁいいさ、まだ時間はたっぷりある。」
俺の肘を掴んで、ごく当たり前のようにホテルへと促す。
やっぱりここで逃げちゃあ…いけないんでしょうね。
我が親愛なるアテナ…お恨み申し上げます。
ソロ家の系列のホテルともなると流石に立派なモンだと感心しながらも、俺は目の前のボクシングのリングくらいありそうなでかいベッドに呆れ果てていた。
ここで何をどうするつもりなのかわからんほど、俺だっておぼこくは無い。
ラダマンティスはとっととシャワーを浴びに行った。俺はルームサービスで取り寄せたウィスキーをストレートでがぶ飲み中だ。
あいつに一緒に入らないかと誘われた…これが飲まずにいられるか。…いっそのこと酔いつぶれてマグロ状態になってやろうかとも思ったが、そうは問屋が卸してくれなかったようだ。
「待たせたな、お前も一緒に入ればよかったのに」
バスローブ一枚でホカホカ湯気を立てたラダマンティスに追いたてられるように、シャワー室に逃げ込む。兄のサガなら喜びそうな設備も、今の俺には無用の長物に過ぎない。
さっき逃げときゃよかったかな…でも、アテナの面子を潰すことになるし、ジュリアンも面白くは無いだろうしな。シャワーを浴びながら考えても、いつも堂々巡りで…いい加減覚悟を決めた。
バスローブを羽織ってラダマンティスの待つ部屋に続くドアを開けると、目の前に立っていたあいつにぶつかりそうになった。
「お前を待ちきれなくてな」
キスしようとして来るのを、アッサリかわして持っていたグラスのオン・ザ・ロックを飲み干してやったら、カラのグラスを取り上げられて抱きしめられた。
「始めてあった時からお前の事が気にかかっていた。気が付けばずっと、お前の姿を探していた。…今やっと、お前をこの腕に抱く事が出来て俺は嬉しい」
…俺は嬉しくない。と言うか、何をクソ真面目な顔して歯の浮くような事言ってやがる。
顎を捕られてもう一度キスを強請られたから、めんどくさくなって唇を半開きにしたまま待機。すぐにあいつの舌が入ってきて、俺の口腔を犯し始める。
「カノン…もう我慢出来ない…。」
荒い息遣いの下でそう囁くと、やおら抱き上げられてベッドまで運ばれた。
おいおい、俺はこう見えて87kgはあるんだぜ。さすが冥界3巨頭の一人って云うのは伊達じゃないなぁ。 くだらない事を考えてたら、ラダマンティスがのしかかって来た。
「カノン…俺を信じてくれ…お前を愛してるんだ」
だから、そのクソ真面目な顔をやめろ…俺はつい笑ってしまいそうになって、瞳を閉じた。
それをOKの合図と受け取ったのか、またキスしてきたので今度はこちらから舌を絡めてやる。あいつの手が股間を弄ってくるので首にしがみ付いてやったら、嬉しそうに笑った。
こいつこんな顔もできるんだと、胸の奥がちょっとばかし≪きゅん≫としたのは内緒だ。
ベッドサイドの戸棚をゴソゴソする音が聞こえて、しばらくすると最奥にヒヤッとした感触があった。その冷たさに体がビクリとすくみあがったのを勘違いしたのか、えらく面目なさそうな顔で耳元に囁いてくる。
「大丈夫だ、俺に任せてじっとしていればいい」
…なんだか、こいつが可愛くなってきたぞ。
体温でクリームが溶けて、後ろの蕾がむず痒くなってきた。遠慮がちに指の一本や二本で抜き差しされるくらいじゃとっても足りない。
くちゅくちゅいやらしい音を立てて俺を苛む。
「ラダマンティスぅ…ラダ…ぁ」
体に力が入らない。
「カノン…気持ちいいのか?」
あー前言撤回だ。こんなニブイ奴ちょっとでも可愛いと思った俺が馬鹿だった。指はもういいって言ってんだよ。さっさとお前のでかいので俺をめちゃくちゃにしてくれよ。
バスローブの上から股間を弄ってやったらこいつも、もうギンギンじゃん。何をやせ我慢してるんだか。
「入れてもいいか?痛いかも知れないぞ」
いいって言ってるじゃないかよぉ、少しくらいなら痛くったってかまわないぜ。ラダマンティスの耳に熱い息を吹きかけて、頷いてみせる。
漸く指が引き抜かれる感触がして、指よりももっと体積のでかい熱いモノがあてがわれて来た。俺の脚を抱えあげて、より深くゆっくりと入って来る。
「くぅん…はぁっ…」
悔しいけど、やっぱ最初に挿れられる時の異物感と圧迫感は半端ないわ。何とか息を吐いて逃がそうとしても、鼻にかかった声が漏れてしまう。
「お前の中は熱いな、溶けてしまいそうだ。…尤もお前と一緒に溶けるんなら本望だ」
流石の逸物も全部収まって、俺が安堵のため息をついた時ラダマンティスがこう言い放った。
俺の額にかかる髪を掻き揚げてくれ、俺の瞳を見つめながら…
だからそのクソ真面目な顔をやめろ!お前なんかに犯られて感じてる、この俺が馬鹿みたいじゃないかよ。
正直、覚えているのはこの辺りまでだ。
ラダマンティスが俺の脚を肩に担ぎ上げて腰をグッと曳き付けて来たんで、今までより深く受け入れる羽目になって…生理的な涙がぶわっと溢れ出した。
「カノン…大事にする…お前の事一生大事にするから」
…ちがう、誤解だと言いたかったけど、壊れそうに強く抱きしめられて激しい抽送が始まってしまい、俺もそれどころじゃなくなった。…ラダマンティスの首にしがみ付き、自分からくちづけた。
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