海原
離れたくない。
あの女と呑み比べして30分は経っただろうか。
マルコも俺も大分酔いが覚めてきた。
「あ゛ー…何者だ、あの女…」
「右に同じだよぃ…」
『ふふ…大丈夫ですか?エースさん、マルコさん。はい、お水です』
声に振り返ればミサキが笑って水を差し出してくれた。
あぁ、やっぱり癒される。周りに女がいても皆、海賊だったからこういう癒しはなかった。
「ん?そういや、親父と話してたけど何を話してたんだ?」
『えっと、ウチ新世界に入って無いのにここに来たんで…どう帰ろうかと』
一瞬悲しげに眉を寄せたが、すぐに苦笑に変わる。
そういや、ミサキやあの女には帰る場所があるんだよな…。
「ん!なら、おれが送っていってやろうか!」
『へ?…えぇぇえぇええ?!』
そんな迷惑かけられません!とミサキが言う。
ただ、俺がミサキと離れたくないだけなんだけどな。
「親父になんて言うつもりだよぃ」
「んー…まあ、親父だったらわかってくれそうじゃねぇ?」
『…あの、でも』
困ったように眉をよせるミサキにそんな顔して欲しくなくて引き寄せ抱きしめる。
『え、エースさ…?!』
「そんな顔、しないでくれよ」
『あ…はい、』
離れたくない。
(そんな気持ち、彼女には迷惑になるだけなのに。)
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