海原
出会いは別れでもあるだろう。



日が昇るか、昇らないか微妙な時間の港。
ウチらの前にはハートの海賊団のクルー。

これから、ナツミとは敵になる。



『…次に会うのは、また遠いんだろうな』

『そうだね』



ナツミが苦笑しながらウチと話すが、意識はキラーさんに向かってるのがわかる。
目の下にうっすら隈があるし…昨日何かあったんだろうか。



『ナツミ、キラーさんと何か…』

『なんにもないっ!!』



少し頬を染め、そらされた顔は説得力が無い。
ウチの斜め後ろのキラーさんは苦笑してるし、ナツミの後ろにいるローさんはイライラしてる。



『う〜…』

『…まあ、いいけど』



一応、敵でも友達なんだからと、ウチが言えばナツミは一瞬驚いたようにウチを見る。

離れたって、敵だって、友達であることに変わりはないでしょ。



『うん、頼りにしてる』

『おぅよ!!…またね』



フワリと髪が風になびく、ウチが船に乗る前に、もう一度ナツミを見た瞬間。

腕にかけられたブレスレットが重くなり、バランスを崩す。

背後には海。
手を伸ばすキッドさんとナツミのウチを呼ぶ声が聞こえる。



「出会いは別れでもあるだろう」



ホーキンスさんの言葉が頭の中で響く。

ナツミと一緒に海に落ちた瞬間、意識が闇に吸い込まれた。




出会いは別れでもあるだろう。



ホーキンスさんの言葉の意味はまだわからない。





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あきゅろす。
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