海原
戦いなんてあの子が知らなくていい。



『来るな、エラリー!』

「嫌がられると余計やりたくなる」

『マジで、やめっ……あ?』



船上の生活にも慣れてきた今日この頃。


バッシャーン


エラリーのせいで船から落ちました。



「で、どうして落ちたんだ?」

『エラリーが!』



ペンギンさんに引き上げられ、ついでに髪まで拭かれている中、
俺はエラリーに全ての責任を擦り付ける。

あ、ちなみにエラリーはすでにアガサさんによるお説教中だ。



「…とりあえず着替えてこい、ジャージがあっただろう?」

『はーい、』



ペンギンさんってお父さんみたいだなー…。

髪を拭いたタオルを羽織って自室に割り当てられた部屋へ向かった。



『ジャージ…あ、あったー』


ドンッ



…あー、平和と程遠い銃撃音が聞こえた気が。

甲板の方からは誰かの叫び声も聞こえる。

戦闘が始まるのか…。



『…とりあえず、着替えよ』



こんな格好じゃ戦えやしない。


何故か、泣きそうな友達の顔が浮かんだが頭を振ってイメージを追い払う。

か弱い彼女が戦いに巻き込まれていませんようにと祈った。




戦いなんてあの子が知らなくていい。



『血に手を穢すのは俺だけで充分だ』





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