ぬるい絶望。じわり、僕に滲む
「ごめん、俺好きなやついるから…。」
その言葉を聞いて僕は愕然とただその場に立ち尽くした。
放課後、体育館裏、若い男女がふたりっきり。
と、この要素が含まれるものを連想するものはひとつしかないだろう、そう。彼は見知らぬ女生徒に告白されていた。
そこで彼が言った返事は先程の言葉。彼が断ったのはこの上ない喜びだしとても嬉しい。だか、信じられない事実がひとつあった。
好きな人がいる…?
なんだそれは。彼と出会ってから今日まで、それこそ休日だって彼の隣にいて、そんな話、聞いたことなど一度も無かったしそんな素振りも見せなかった。
嗚呼なんてことだ、こんなのはあまりにも酷すぎる!
僕は彼と結ばれる為に生まれてきたと言っても過言ではないというのに!
翌日、どうしようもない焦燥感を抱きつつも彼の家へと迎えに行く。
インターホンを押して数分後、彼は自宅から出てきた。
「はよ、ハチ。」
「……おはようございます」
ハチと言うのは、僕のあだ名で出会ったときからそう呼ばれている。六道骸なのだからロクとかクロならばまだ分かるのだが…。
ハチ、なんてあだ名の由来が分からず以前聞いたことがあるのだがその時は笑ってはぐらかされてしまった。
犬みたいなあだ名だと正直思った。もっとも、彼が僕にだけ付けたあだ名なので無条件に気に入ってはいるのだが。
彼は何時もと全く変わらない。昨日の告白の話をする気配もないのできっと僕から言い出さないとその会話にいきつくことは無いのだろう。
「あの、」
「なぁハチ、」
「…なんですか?」
僕の言葉を遮るように彼がおもむろに口を開いた。
「明日が何の日か、知ってるか?」
「明日、ですか…?」
予想外の質問に思わず蒼い両の目をぱちくりと瞬かせる。
明日、といえば9月18日。なんてことのない平日の日だ。彼の誕生日でもなければ僕の誕生日でもない。これといった行事のある日でもなく、彼と約束をしていたわけでもない。
「…すみません、思い当たらないです」
「だよ、な…」
まるで、僕がそう答えるのを見透かしていたかのように、皮肉に笑う彼に右目がじくじくと痛んだ。
(何か、大切な日だったのか…?)
彼の表情に言い様のない不安が広がり必死に考えるが何も思い付かない。
むしろ考えれば考えるほど右目が痛み、考えるのを止めさせようとさせているようだった。
「…っ、それよりも昨日。告白されてましたよね?」
ピタリ、彼の歩が止まった。つられて僕もその場に立ち止まり彼の言葉を待つ。
「…聞いてたんだな、それで?」
「好きな人がいると言ってましたよね。…誰ですか」
「六道骸だよ」
あっけらかんと、開き直ったとでもいうかのようにそう言った彼に目を見張る。
今、なんて……?
「そんな、」
それならば彼と僕は両思いだったということになる。しかも、彼の口振りから察すると随分前から僕の事を思っていたように感じ取れる。
嗚呼でも、この嫌な予感はなんだ。彼と両思いだと言うのに、酷く嫌な予感が止まらない。
じく、じく。右目が痛い
「ただしお前じゃないよ、ハチ」
「………?」
何を言うんだ彼は、
僕の事ではない。……だと?
思わず右目の痛みを忘れるほど、呆然とする。
自分でいうのも何だが自分の名前は一般的に見れば珍しい部類に入り、同姓同名の人間なんてそういないだろう。なのに、
……僕じゃない?
「それはどういう…」
「俺が好きなのは6番目のお前だ。じゃあな8番目、」
意味ですか?と続けるはずだった言葉は彼が早口にそう捲し立てたせいで口内に留まった。
彼はそのまま足早に僕の横を通り過ぎスタスタと歩いていく。
彼がいなくなった後、僕は暫くそこに立ち尽くしていて、ようやく整理した脳で理解できたのはハチというあだ名が8番目からきている事。
彼は僕を通して僕ではない僕を見ているという事だった。
「…、………っ、」
右目が、焼けるように痛んだ。
ぬ い
る 絶望
。
じ
わ
り、僕に滲む
‐‐‐‐‐‐‐
はい意味不/(^o^)\
飛呂さん、ワケわかんない感じですみません!
説明的な感じで言いますとこの話は来世ネタです、現代から2回巡った所の話ですね。
ただ、骸には前世の記憶が無くて主人公には前世の記憶があり、主人公が好きなのは前世、共に過ごした6番目の骸だっていうわけです。
主人公は8番目の骸に6番目の骸を重ねて見てるわけです。
…説明なのに、は?な感じですみません…。
ついでに言うとこの骸は六道輪廻の力にまだ目覚めて無いのでオッドアイではなく両目蒼の瞳です。
もんすごくgdgdな感じで申し訳ないです…。
書き直しは受け付けてますので気兼ね無くお申し付けください!
それでは、遅れましたが相互ありがとうございましたッ!
此方の小説は飛呂さんのに転載、その他諸々許可しております。
09.7.27露雪 彩香
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