Buon Compleanno! 「……」 一体、何なんだろうかこの状況は。 今日って俺の誕生日だったよな。うん、そうだ誕生日!朝学校来たときにツナ達お祝いしてくれたし。 なのに、なのに何で俺風紀委員に囲まれてるわけ!? 俺別に風紀乱したりとかしてないし普通の、平々凡々な一般人だし!遠巻きに俺を見てくる奴等は哀れみを込めた目で見てきやがる。やめろ!俺をそんな目で見るな! 「…委員長がお呼びだ、応接室まで来い。」 「………は?」 正面にいた、リーゼント頭で厳つい顔して(つっても囲んでる風紀委員全員そうなんだけど。)草をくわえた男がそう言った。 「…委員長?」 「あぁ」 「委員長ってあの雲雀恭弥?」 「そうだ。」 「っ!無理無理無理!!断固断る!」 冗談じゃねーぞ!雲雀恭弥って言えば泣く子も力尽くで黙らせる鬼の風紀委員長って有名で群れと称するものや気に食わない事があれば相手を滅多打ちにするっていう…! 俺が何をしたかなんて皆目見当つかねーけどそんなやつの所に行くなんて死亡フラグ立ちまくりじゃねぇか! 「委員長命令だ、来い」 「げっ、やめろ!!」 哀しきかな、チビの俺は体格の良い風紀委員に敵うわけもなく羽交い絞めにされて連行されていく。 ああだから通行人どもめ、そんな目で見るなちくしょー! 無理矢理校内に引きずり込まれそのまま応接室へと連行された俺。 俺を室内に入れると風紀委員たちは一礼して出て行った。 瞬間、後ろに感じる殺気のような気配。怖くて振り向けずにいる俺に声がかかった。 「…君、」 低くて威圧感の声に思わず肩が大げさに跳ねる。その声は此方を向けと言っているように聞こえてギ、ギ、ギと首が実際に音を立てるかのようにゆっくりと後方を振り返る。 そこには、怖いくらいに綺麗に微笑む風紀委員長の姿がありました。 「早く座りなよ」 「えっ、あぁ、はい」 どうやら俺はもてなして(?)もらっている様でソファに座るよう促された。 テーブルには二人分の紅茶とケーキ(しかも俺の好きな苺のケーキ!)が置かれていた。 雲雀さんの対面するように座り、そのまま無言。 頭の中ではなんでこうなったんだっけとかそんな考えばかりが浮かんでいた。 「君、今日誕生日なんだろ」 「えっ、」 何で知ってるんだ…?と、思わず怪訝な顔をする。だって考えても見ればこうやって話すのも初めてだし親しい間柄なんてものではまったく無い。 (もしかして、誕生日の人は毎回こうやってもてなしてたり…?) いや、無いか。と浮かんだ答えをばっさりと切る。そんな親切そうな人には失礼だけど見えないし、そんな噂聞いた事も無い。 じゃあ、なんで…? 「あの、なんで知ってるんすか?」 「……覚えてないの?」 びっくり、とでも言うように目をぱちくりと見開いてそう言う。 覚えてない?なにが?俺が? 「二週間前、僕は君と話してる。」 …二週間前?記憶を遡ってみるがぜんっぜん思い出せない。……待てよ、二週間前?もしかして、 「…!」 「思い出したみたいだね」 雲雀恭弥は満足そうに、にやりと口端を上げて笑った。 そう、俺は二週間前雲雀恭弥と会話をしている。きっかけは多分俺が彼の生徒手帳を拾ったとかそんな感じだったと思う(なにせ二週間も前の事だから記憶が曖昧なのだ)そこで誕生日の欄を見て誕生日近いっすねとかそんな感じのことを言って、拾ってくれた礼だとか何とかで祝ってくれるという約束をしたのだ。 「えっと、その…律儀にありがとうございます。」 「約束、だからね」 紅茶を優雅に飲みながらそう答える彼。 あんな口約束を本当に守るわけが無いと、俺はすっかり忘れてたけど…覚えてるなんて案外いい人なのかもな。 噂なんて当てにしないほうがいいなぁ、なんてケーキを口にしながらそう思った。 「で、」 「はい?」 「プレゼントは考え付かなかったから僕でいいよね?」 ぶっ!と思わずケーキを吹き出してしまう。汚いなと顔を顰められたがそんな事はどうでもいい! なんだプレゼントは僕、とか!どこのバカップルの話だ! 「あの、お言葉ですがこんなケーキまでいただいた上にプレゼントなんて…その、」 「遠慮する事は無いよ、むしろ光栄に思えばいい。僕と交友関係を築けるなんて。」 …ん? 「交友関係…?」 「…君。何だと思ってたの、」 がっくり、と思わず脱力する。そう言う意味か、いやでも普通そんな風に言わないよな?僕をあげるで友達になるなんて。 「いや、その…なんていうか、アッチ系だと思ってました。」 「…馬鹿じゃないの」 「………はい。」 まぁ君がそういうのを希望するならいいけど、なんていいながら言葉を続ける雲雀さん(おまけに頬を染めるオプションつき)に思わず胸が高鳴った。 ……待て待て待て、言っておくが俺にそんな趣味はない。 無い、はずだ。なのになんで俺こんな、こんな…っ! 「…友達として、仲良くやっていきましょう、ね。」 「そう、だね」 手を差し出して握手を求めると相手もそれに応じてくれた。存外華奢で白い指が俺の手に絡まるのを見てまた胸が高鳴ったのは、秘密にしときたい事実だ。 −−−−−−−− ということで!飛呂さん誕生日おめでとうございます! 遅れてしまって申し訳ないです…、そしてなんか長くなってしまってすみません! 話の流れとしては落し物を拾ってくれた主に雲雀が一目惚れ、誕生日を祝う。がコンセプトだったのですがなんか話が書いてるうちにずれていきました…。 きっとこの後はどちらの性格も不器用なので雲雀→←主なかんじの相互片思いで関係が続いていくと思います! はたから見たら両想いにしか見えないのに本人達は片思いだと思っているという。なんておいしい関係^^← それでは、本当におめでとうございました!これからもよろしくお願いしますvv (此方の小説は飛呂さんのみ転載、その他諸々許可しております) 09.05.17 露雪 彩香 |