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小説
勇者、3日間の旅
勇者は死んだ。


魔王と相打ちになり、体を魔王の槍が貫いたからだ。
仲間はいない、勇者1人の旅だ。

ただ魔王を倒した者として語り継がれるだけ。


しばらくして、光が見えた。
神様だ。

「お前の功績を讃えて、3日間の命をやろう。何をするも自由。ただし3日目の日が落ちる時にお前の体は消え去る。」
そう言い残し、神様は去っていった。


しばらくすると勇者は生き返った。
与えられた時間は3日。

やることは、決まっている。
勇者は自分の住んでいた町へ歩き出した。






「おぉ勇者よ!よくぞ魔王を倒して戻った!」
勇者はまず王様へ魔王を倒したと報告した。
自分が倒した証を残すために。



「よし!今日は祭じゃ!民衆に伝えぃ!」
兵士達は敬礼し町へ走っていった。



その夜、勇者は祭を楽しんだ。
民衆から称えられて、優遇され・・・・・・・それはとても楽しい祭だった。




しかし、



やることは、まだある。





翌日も祭が行われた。
しかし勇者は町を抜け出した。

隣町にいる彼女に会いに行くためだ。




彼女の家についた。
彼女の名前はエリィ

幼なじみでありながらの彼女だ。
魔王を倒したら結婚を約束していた。

しかし私は死んだ身。あと2日の命。結婚は、出来ない。

だから会いに来た。しかし死んだ、と言うのは彼女には酷な話だと思う。

もちろん言い訳も考えた。

私は家へ入った「やぁ、ただいま」
「おかえり!心配したんだよ!!」
抱きついてきた。しかし喜ぶわけにはいかない。

「エリィ、話があるんだ」
「うん?結婚の事?」

「違うんだ、俺は旅に出る。」
「え・・・・・・?なんで!?帰ってきたら結婚してくれるって言ったじゃない!魔王を倒したならもう旅に出る必要も無いじゃない!」

「俺はこの世界を見てきた。世界の真実を知った。困っている人や貧困に苦しむ人も沢山見てきた。だから、そんな人を助けるために俺はまた旅に出る」

「いつ・・・・・・・帰ってくるの?」

言葉を失った。
しかし真実を言うわけにもいかない

「・・・・・・・わからない。果てしなく、長い旅になるからな」
「なら私も!」
「ダメだ。お前は俺の帰る場所を守っていてくれ・・・・・・」

「・・・・・・・分かった。早く、早く帰ってきてね」

「・・・・・・・ありがとう」

そう言って俺は家を後にした。
全ては彼女のため、そう、彼女のためなんだ。










3日目。

どれだけ歩いたのだろうか。
私はどこかも分からない丘へ来ていた。
もう夕方だ。

私はここで死を迎える事にした。
武器と防具を外し、丘に横たわる


夕日が綺麗だ。ここで死ぬのも、悪くない。


思いふけっていると後ろから足音が聞こえた

「誰だ!」

とっさに武器を手に取り構える

「私よ」

エリィだった。

「馬鹿野郎!どうしてついてきた!」
「わかるもの。あなたの事、何年見てきたと思ってるの?」

全てお見通しの様だ。隠し事は通用しなさそうだ

私はすべてを話した。

「そっか・・・・あと、少しの命なんだね」

そのころには日が半分沈んだ。

「あぁ・・・・・・。今更言えた事じゃないが、最後に君に会えてよかった・・・」

「私も最後に会えてよかったよ」

すると、私の爪先から光になって徐々に体が消えていった


「もう、時間だ。」
「いつか戻ってくる?」
「君が信じ続けてくれるなら、いつか戻ってくる」

「約束だよ?」
「約束だ」


そして、私は光になった

彼女を守る光へと。
















あれから2年がたった。

私は勇者だった「彼」をずっと待っていた

幾度も告白やプロポーズがあったけど全部断った。

彼を待つために。




私は川で洗濯をしていました。

すると後ろから足音が聞こえた
















「ただいま」

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