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short46(*元拍手)





#イヴァルキ







朝からずっとまとわりついている視線が気になって仕方がない。CR5の幹部会議での席でもずっとその視線は俺から離れることはなかった。俺がそちらの方へと顔を向けると、その視線はふいとまるで今までこちらを見ていませんでしたと言っているように、逸らされる。そして俺が視線を違う方へ向けると、再びこちらを観察するように視線を戻す。今朝からこの繰り返しだ。いい加減イライラしてきたが、こちらから声をかけるのも何か違う気がして、そして何か癪な気がしてこの状態がずっと今朝から続いている。

「なぁ、おいルキーノ。」

そんなよく分からないことに思考を巡らせている最中に、隣の席に座っていたジャンが、俺の肩をトントンと軽く叩いて、小声で話し掛けてきた。一拍おいて、なんだまだ会議中だぞと返事をすると、ジャンは俺の耳元にそれよりもと声をひそめてしゃべりだす。

「なぁ、今朝から何なのあいつ。めちゃくちゃ気になるんだけど。」
「俺が知るか。」

むしろそれは俺が聞きたい。周りにその異様さを気付かれるほど、今朝からあいつは、イヴァンはおかしい行動を取っている。全くいったいなんなんだと、こっちはため息をつきたい気分だ。

「あんた、イヴァンに何かしたのけ?」
「した覚えもないし、された覚えもない。」
「じゃあ、何なんだよ?てか、なんか今度はこっち睨んでねぇ?」
「・・・気になるならお前が聞いてこい。俺は面倒だ。」
「えぇー俺も面倒事はいやだぜ?」



ひそひそとジャンと話している会話が聞こえたのかベルナルドから私語の注意をされ、そこでジャンとの会話は終わる。そして再び会議の内容に耳を傾けるが、やはり未だにイヴァンからの視線は無くならなかった。気になりはしたが、何か用があるなら、そのうち声をかけてくるだろうと、ルキーノは思い、少し意地もあって、あまり気にしないようにした。だがその視線はこの日の夕方までの会議の間ずっと俺にまとわりついていたのだった。














「いい加減にしろ、なんなんだいったい!」

そしてついに我慢ができなくなったルキーノは会議が終わって、席を立った後すぐにイヴァンを別の部屋へと呼び出し一喝した。

「あぁ?なんだよ。なんでそんなに怒ってんだてめぇーは!」
「怒りたくもなる。今朝からずーっと!お前は声をかけもせず、何でこっちを見てくるんだって聞いてる!気になって仕方が無いだろうが!」
「べ、別にずっと見てたわけじゃねーよ!たまにだろ、たまに!」

しかし何か思うことがあるのだろう、動揺していることがバレバレのイヴァンの態度に、煮え切らない態度にルキーノがもう一度声をあげようとした。


「つか、よう。アンタ、今日の夜空いてんだろ?」
「・・・はぁ?」

すると思いがけないイヴァンの一言につい聞きかえしてしまう。

「ファック!めんどくせぇ!だから俺も今日夜がオフなんだって!」
「・・・だから何なんだ、はっきり言え。」
「だからよぉ!もうわかれよ!」
「わからないに決まってるだろう。お前は言葉が少なすぎるんだ。」
「あぁ、もう、くそ!」

イヴァンは頭をガシガシとかきながら、いらだったようにその口を開く。

「だから、アンタを・・・その俺のメルセデスに乗せてやろうと思って・・な。今日夜オフだって聞いてらからよ。だから、どっかで声かけようと思っても、朝はアンタはベルナルドと二人して真剣な話してて声かけらんねーし!昼は昼でジャンとジュリオと三人で会話してて一人じゃないから言い出せねぇーし!その後の会議もジャンと近くで内緒話しててなんかイラつくし、たく!なんなんだアンタどっかで一人になりやがれ!むかつくんだよ!この俺様が誘おうっとしてるってのに!」
「・・・そんな、やつあたりされてもな。声かければよかったじゃないか。」
「馬鹿か!言えるわけねぇーだろうが!」

俺たちの関係ばれてもいいのかよ!?と半ば逆ギレのような態度でまくしたてられ、ルキーノは今日一日分の疲れがふと抜けたように身体を脱力させたのだった。















伝わりにくいんだよ、それじゃあ
(もう少し恋人を誘う時はスマートにするもんだろ。まぁ、お前じゃ無理だろうけどな。)





END






あきゅろす。
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