[携帯モード] [URL送信]

/etc
short44









#ベニピロ














「ベニーやん、ごめんね。迷惑かけると思うけど、僕のお願い聞いてくれる?」
「・・・・。」

見たくもない中年男の上目遣いを見せられながら、ベニヤミンは常の不機嫌そうな面にさらに眉間のしわを寄せて、そう言ってきたピロータに鋭い視線を向けた。

「その呼び方はやめろ、、ごほ、、と何度言えば解る。」
「えー可愛いじゃないの。ベニーやんこの呼び方嫌なあの?」
「だから、止めろと言っている。」

ゴホンっと年のせいも原因にあるだろう、喉を通りにくくなった空気を咳き込んで、大きく肩を落とす。何度言ってもどこ吹く風で、わしの言葉を聞きもせんやつめ。そしてこいつはいつも厄介ごとを持ってくるんだ。わしの都合もたまには考えてくれてもいいだろうに。
ベニヤミンは再び、大仰に息をつくと、それでと、一応は話を聞いてやるつもりで口を開いた。聞かんかったら、聞かなかったで、拗ねるのだからタチが悪い。全く面倒くさい。

「いったい今度はなんだ。」

そう言うと、ピロータは嬉しそうに瞳を輝かせた。思わずベニヤミンは、「ウ・・」と呻いてしまう。いやいや、そんな顔にわしは騙されんぞ。いつまでもそれでわしがお前の都合の良いように動くと思うな。

「本当?ベニーやん?」
「だから止めろと、ちっ・・・まぁいい。いっとくが、イタリア系絡みなら・・ごほ・・わしは関わらんぞ。」
「えー」
「えーとはなんだ、えーとは。」
「だって、ベニーやん聞いてくれないって言うんだもの。」
「・・・・つまりは、またあの若造たち絡みか。」

もうすでに突っ込むのも面倒臭くなった呼び名は無視し、ベニヤミンは嫌な顔を隠しもせず、ピロータにそう言った。

「そもそもあいつらはあいつらでやっているんだ。何故あの若造たちをそれほど気にする?」
「うん、そうだね。だから、これは僕のわがままなのよ。あの子たちを見てるとついつい何とかしてあげたくなっちゃうの。」
「ふん・・・お人好しめ」

ベニヤミンはピロータの言葉に鼻を鳴らすと、その場から立ち上がる。

「わかった。若造どもが今巻き込まれてる厄介事とやらを調べさせよう。だが、ゴホゴホ・・あくまでもお前の頼みを聞いてやったわけじゃない。わしもやつらの周りが気になってただけだ。」
「うん、解ってるよ。有り難うベニちゃん。」

また変な呼び方をしおって。ブツブツと小言を言いながら、ベニヤミンは机上の連絡回線に手を伸ばし、今の件を通達する。ベニヤミンが受話器をおき、ふぅーと息を着き、これでいいだろと、いかにも不本意ですといった憮然とした表情でピロータに目線をやった。そんなベニヤミンにピロータはニコニコとした笑顔を浮かべるのを、次には、怪訝そうにベニヤミンは伺う。

「なんだ気色の悪い笑い方をするな。」
「ベニちゃん失礼だよ。まぁ、全く素直じゃないのよね。」
「ふん・・悪かったな。わしのこういう性格は治らないもんでな。」
「でも本当は優しいのよ、昔から。」
「誰がだ?」
「ベニちゃんが」
「何を馬鹿な。」
「ふふ」

ベニヤミンの言い草にピロータは苦笑を零すと、昔から変わらない友人に向けて、再び笑顔を向けた。

「でも君のそういう所、僕は好き」

あのベニヤミンがピロータに甘いのは、こういうピロータの素直さにあるとか、ベニヤミンはピロータに頭が上がらないとかそういう噂話しがデイバンに広がっているのは別の話し。






おねだりのすすめ
(「なぜ、あいつの言うことを聞いてしまうんだワシは!」「もう、ベニちゃん細かいこと気にしない。気にしない。」)











END







あきゅろす。
無料HPエムペ!