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short43








#ルキジャン







「グッ・・モーニーング、ルキーノ。本日はお日柄もよく・・・ねぇ・・ちっとも!」
「何だ、朝っぱらから騒々しいって・・大丈夫か?真っ青な顔してるぜ?」
「あー、やっぱりそう見えるダーリン?」

 その日ルキーノがジャンの部屋へと行くと、彼を出迎えたその顔はひどく具合が悪そうだった。扉に体重をあずけて、やっと立ってますと言わんばかりに、重い息をジャン吐き出す。

「昨夜ダーリンが、ずっと離してくれなくてぇん。あちこち痛いの!もう、甘えんぼなルキーノさん。」
「・・・俺のかわいいお姫様に抜きんでるくらいの愛をたっぷり刻みつけてやった証だろ?・・なんて、二週間前くらいの話だがな。・・今にもぶっ倒れそうだが、ジャン。お前、平気なのか?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。ちょいと頭がぼーっとしちゃいるが、じじい共と見たくもねー腹の探り合いする体力もあるし、騙し合いっこする気力もあらぁ。」

 明るく振る舞っているように見えるが、相当具合は悪いのだろう。その証拠に普段のような目の力もあまり無いし、口もとも少しひきっつっている。ルキーノは眉を潜め、まずその額へと手を伸ばした。
 しかし、確認はするまでもなく、触ったその額の体温は常のジャンのものと比べると、明らかに高い。

「くそ、やっぱり熱いな。」
「平気だって。」
「そうは言っても、流石にボスのお前に無理をさせる訳にはいかんだろう。ベルナルドにでも頼んで、休み・・・って、ストロンツォ、よりによって、アレか。今日は。」
「そう、アレだ。よりによって、いつでも俺を引き摺りだそうっていういぎたない狸共との昼食会よ。大かたこの間の、さ。取引用のワインを駄目にしちまった件をいびる気満々だろうな。休んだら休んだらで、色々言われるんだろうな。あぁ、今から胃がキリキリすらぁ。」
「・・・いや、そうだとしてもだな。」
「グラッツェ、ルキーノ。だが心配はいらねーよ。まぁ、なんとかなんだろ。」
「・・・・自分の不甲斐なさに、涙がでてくるな。・・・悪い・・ジャン。」
「ん・・」

 スルリとルキーノはジャンの頬に撫でるように己の掌を重ねる。それに逆らうことなく、ジャンは甘えるようにその掌に自らの頬を押し付けるように身を預ける。熱があるせいか、普段よりも素直な反応を示すこの可愛いボスに、ルキーノは笑う。少しだけの名残おしさを伴って、その腕から離すと、ポンっと頭を軽く叩いた。

「・・・無理そうなら、すぐに言えよ。」
「りょーかい。」

 体調の悪さを上手く隠し、我らがボスの顔して、自信たっぷりにジャンは笑う。ルキーノもまたそんな自分のボスに苦笑を浮べる。
 そして今日もまたこの最高の相棒とともに、決して楽しいとは言え無いマフィアの一日を過ごすために、まずは、未だに寝巻のままのジャンの身支度を整えようと、ルキーノは教育係としての一喝をするのであった。








(「とりあえず今夜はその熱俺に移すまで・・・な?」「わーお。このエロライオンめ!お手柔らかにな。」)






END







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