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アリーチェ誕







#アリーチェ誕生日祝い
(グレゴレッティー家捏造 注意)



















 わたしはこの日が一年で一番好きな日なの。だっていつも忙しいパパが朝からわたしを起こしてくれて、おはようって言ってくれるの。そして、誕生日おめでとうアリーチェって言って額と頬にキスしてくれるの。優しいパパのキスがとても嬉しくて、わたしはついつい甘えちゃうんだけど、別に私は恥ずかしいとは思わない。だってこの日は我が儘になって、いい日なんだってパパが言ってくれたんですもの。だからわたしはこの日だけは思いっきりパパに甘えるんだ。
















そんな事を前の日まで思っていたのに、窓から差し込む眩しい光に目が覚めた当日の朝、わたしの目の前にいたのはパパじゃなくて、ママだった。眠い瞼を手で擦りながら、キョロキョロと周りを見渡してもパパの姿は見当たらない。どうしてだろう?この日には必ずパパは朝からいてくれるのに。わたしが急に不安になってパパは?ってママに聞いたら、ママは少しだけ困った顔をした。そんなママを見て、わたしは胸がキュッて痛くなった。パパはいないんだってそれでわかってしまったから。

(アリーチェ、ごめんなさい。パパ急に夜中に呼び出されてしまって・・)

でもね、パパも楽しみにしてたの。好きで仕事に行った訳ではないの。ママはそう言って、私がいつも眠っているベッドに腰をかけて慰めるように頭を優しく撫でてくれた。うん、ママ。私もママの言う事はわかっているわ。パパはとっても忙しくて、パパがいないとお仕事がまわらないのよね?それはわかっているのよ。けど、けどね。パパがいないんだって思うだけでやっぱり少しだけ悲しくなっちゃったの。誤解しないでね。けっして責めている訳じゃないの。そんな風にはママには思われたくなかった。けれどわたしが落ち込んだのが表情からわかったのかもしれない。ママはそんなわたしを元気づけるように、にこりと笑った。

(ねぇ、アリーチェ。パパね仕事に出ていく直前どんな顔だったと思う?)

わたしはわからなくて、パパはどんな顔をしていたのって尋ねると、ママは内緒話をするように、こっそりと教えてくれた。パパとっても怖い顔でね、アリーチェの誕生日に!って、出ていくまで文句言いっぱなしだったのよ。ママ宥めるの大変だったんだから。子供みたいよね?そう言ってママは笑った。そんなパパの姿をわたしも想像して、つられて笑っていた。

(あとねアリーチェ。)
(なーに、ママ?)
(パパから伝言よ。)

伝言?わたしが首を傾けると、ママはまた嬉しそうに笑った。

(『絶対今日中に帰るからな。』ですって。)

一瞬どういう意味か解らなくてわたしはきょとんとしてしまったけれど、パパの言葉がじわじわと心に染みてきて、その言葉だけで嬉しくて、わたしは心の中で、解ったわパパって呟いた。もしかしたらパパは今日中には、帰ってはこれないかもしれない。けどパパの気持ちはそれだけでわたしには十分だった。でもその分パパが帰ってきたら、いっぱいいっぱい甘えるの。わがまま言うの。だって今日は特別な日なんだから。パパはいつもこの日に決まってわたしに言ったの。今日はアリーチェの特別な日なんだ。大切な日なんだって。だからなんでも普段出来ないこととか、わがまま言いなさいって。だから私もいつもパパにお返しするの。なら明後日のパパの誕生日も特別な日で、大切な日よねって。だからパパもわたしにわがまま言ってね。わたしに出来ることがあれば何でもするわ。そしたらパパは嬉しそうに笑って、あぁ、そうだな。ありがとうアリーチェって、頭を撫でてくれるから、それがとっても嬉しいの。だからこの日はわたしにとって一年で一番好きな日。だってパパとママが祝ってくれるから。パパも自分の誕生日をわたしみたいに思ってくれてると良いな。














フワフワとした意識の中、わたしは耳に聞こえた物事にそっと目を開ける。いつのまにか私はいつも寝ているベッドに寝そべっていた。窓からは日は刺していなくて、部屋は薄暗い。けれどその薄暗い中で微かに物蔭が動いたのにわたしは気づいた。もしかしてと思って、乾いていた唇をわたしは動かした。

「パパ?」
「アリーチェ?」

やっぱりそうだった。パパは、わたしが起きたのにびっくりしたのか驚いた表情で私にそっと近づいた。

「起きた、のか?アリーチェ?」
「・・・ううん、ごめんさい。起きて待ってたかったのに、寝ちゃったみたい。」
「いや、アリーチェは悪くないさ。ごめんな。遅くなっちまったな。約束守れなかった。」


それはいいの、だってパパちゃんと戻ってきてくれたから。わたしがそう言うと、パパは微笑んでその大きな手で私の頭を撫でる。遅くなったけどと、パパはそう優しい声で言った。

「Buon compleanno Alice.」

そしていつもの優しいキス。わたしはありがとうの代わりに思いっきりパパに抱きついた。



























パパ、ありがとう!



END
(おめでとう!アリーチェ!多分、今日ぐらいだと思う。)





あきゅろす。
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