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ルキジャン前提モブルキ






#ルキジャン前提モブ×ルキーノ






 暗く薄汚れていた空気が辺りを漂っていた。金色の髪の青年は今自分の目の前で行われようとしている行為を何がなんでも止めたかった。目頭が熱い。必死に罵倒の言葉を叫んでも聞き入れられるどころかしまいには腕や足を拘束されて動きを封じられてしまった。大人しくしてろよ、せっかくあの兄ちゃんがテメェーを犠牲にして上司を守ろうとしてんだ。卑下た笑みを浮かべてそう言った男に、青年はいっそ殺してやるとでもいうかのような視線を男に向ける。ぎりっと唇をめいいっぱい噛みしめて、目の前で群がる男たちに再び罵倒を浴びさせる。

「てめぇーら、その汚ねー手でルキーノにさわるな!」

てめぇーらみたいなゲス野郎が触っていい男じゃねーんだよ!離せ!やめろ!さわんじゃねー!そう叫んでも叫んでも叫んでも群がる男たちは止まるところかむしろ面白がって、ほら、あんたのボスが一生懸命叫んでるぜぇー?とケタケタと笑いながら、その赤髪を乱雑に掴んで上向かせていた。服を脱がされ、手や足を数人の男たちに抑えつけられながらも、それでも男たちの隙間から垣間見えるルキーノの常の矜持は失われた様子は無い。苦痛に歪んでも、何をされても、ルキーノの目から力が失われていない。ルキーノと目が合う。ジャンにはもう涙を止めることなど出来やし無かった。瞳から止めどなく流れ出て、瞬きすらもする事が出来ない。そんなジャンにルキーノはこんな状況にも関わらず仕方無いなという表情で笑ったのだ。



(本当に、こいつには手を出さないんだろうな?)

ルキーノは反論するジャンを自身の背に庇いながら、低い声で自分たちを囲う目の前のやつらに尋ねる。既に逃げ場失っていた男の問いに男たちのリーダー格であるやつがニヤリと薄く笑みを浮かべて、あぁ、約束するぜ?と答えた。一瞬の逡巡の後、ルキーノは暫くして、男たちに向けていた銃を下ろす。ジャンは信じられないという思いでルキーノを見つめた。

(てめぇーらの趣味は理解出来ないが、それで良いなら構わん。好きにしろ。)
(ルキーノ!!?)

何馬鹿言ってんだと、叫ぶジャンの頭をポンっと叩く。大丈夫だと安心させうような声に、その時ジャンの胸は張り裂けそうに痛くなった。何もする事も敵わないまま、目の前の光景をただ見ていることしか出来ない。ルキーノ!と、ジャンは彼と目の合った瞬間に思いっきり彼の名前を呼んだ。男は薄く笑って、そして。

「ジャン。」

響いた声は、ジャンの叫ぶ声を止めさせる。

「・・・暫く・・目、閉じてろ。」

自身を安心させるルキーノの声は何処までも優しくて、そしてどこまでも残酷だと、ジャンは冷めていく思考の中でそんな事を思った。



















落ちていく





END
(殺してやる。我々の仲間を穢したその酬いを。)

続き→「この暗闇の中で」






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