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部下ルキ←イヴァ







#部下ルキ←イヴァン












 ルキーノは本部にある執務室兼自室に入る直前、今日も遅くまで自身の護衛をしてくれた眼鏡の部下に、そうだと何かに気づいたようにポツリと呟いて、クルリと振り返った。部下は突然自身の方に身体を向けたルキーノに「隊長?」と、怪訝そうな表情を浮かべる。ルキーノは表情を緩めると、今日はもう上がって休んでくれて構わない、遅くまで付き合わせて悪かったなと労いの言葉かけ、再び執務室へ通じる扉のドアノブを捻ろうとした。だがそれは叶うことなかった。急に腕を取られ、何だ?と、再び部下の方へと向き直ると、トンッとドアへと軽く押し付けられる。いつの間にか、部下の端正な顔がルキーノの間近に迫っていた。

「隊長、申し訳ありません。」

そう口にして、ルキーノが何かを言う前にその唇がそいつによって塞がれた。部下の舌がルキーノの唇を割り、咥内に侵入し、突然のそれに呼吸を奪われたルキーノは、「ん」と鼻にかかった甘い息を漏らしてしまう。そしてそんな事を急にしてきた部下を、離れたと同時に軽く睨んだ。

「おい、キスをするにしても場所を考えろ。ここを何処だと思ってる?」
「だから最初に断ったでしょう?」
「同意した覚えは無いんだがな?俺の教育が足りなかったか?」

ルキーノはおいたした自身の部下にニヤリと笑い、そして、教育し直しだなと今度はルキーノから部下の顎に指を添えて、キスをしてくる。これじゃあ逆にご褒美ですよと、部下が呆れたように息をつくと、そうか?と唇を嘗めた。

「・・・我慢出来ませんでした。以後気をつけます。」
「どうだかな、たく、こんな所見られたらどうしてくれ・・・・」

瞬間隊長の目線がある一点を見つめて、やべっと思わず言葉を漏らし、どうしたもんかと困惑気味な表情を浮かべた。部下は同じ方向に目線を向け、そして固まる。同じ視線の向こう、その先に水色の短髪の幹部の一人であるイヴァン・フィオーレがいっそ心配したくなるような赤い顔をさせて、こちらを凝視していた。

「な、なななななっ」
「イ・・イヴァン。これはだな・・」

アーと隊長も上手い言い訳が思いつかないのか、言葉を濁し、視線をあさっての方へと向ける。部下である男も、やってしまったと、しかも見られたのがよりによってフィオーレ幹部と、額に手をあてて、嘆息を零した。

「な、何やってやがる!?こここ、このホモヤローがぁー!!!ファック!ファーック!!」

やれやれと、呆れたようにルキーノは息をついた。

「イヴァン、嫌なもん見せてすまないな。とりあえず今のは見なかった事にして、さっさと忘れとけ。」
「はぁー??てめ、何言ってやがる!」

ズカズカと、こちらへと勢いよく近づいてきたイヴァンにルキーノは何だよと、なんか言いたい事でもあるのか?と、眉間に皺を寄せてイヴァンを見た。

「こんな部下、さっさと辞めさせちまえルキーノ!てめぇーの上司に手ー出すなんて言語道断だろうが!!」
「あぁ?」

何言ってんだお前と、ルキーノが問い掛けると、ギロリとルキーノを睨みつけ、イヴァンは不機嫌そうにルキーノの部下を指さす。

「この野郎がテメェーに手ー出したんだろうが!てか、てめぇーもなんで抵抗しねーんだ!?もっと嫌がれってんだよ!このボケ!」
「イヴァン?お前なんか、勘違いして・・」

あの状況を見て、イヴァンは、ルキーノの部下が無理矢理ルキーノに迫ったと見えたらしく、何故か憤慨している彼にルキーノは疑問符を頭に浮かばせた。

「てか、なんでお前そんなに怒ってんだ?」
「知るか!なんか知らねーがはらわた煮え繰り返ってんだよ!つか、テメェーのせいだ!」
「はぁ?なんで俺のせいになる。まぁ、確かにあんな野郎同士のキス見せつけられたんじゃ仕方ねぇーのか?」
「つ、それもあるけどよ、だからテメェーが・・・」
そしてまた、訳の解らない事を喚き始めたイヴァンに、先程から静かに二人のやり取りを眺めていた部下が、その口を開いた。

「間違ってたら、すみませんフィオーレ幹部・・・」
「アァー?」
「もしかして、・・・隊長の事お好きだったりしますか?」
「はぁ?何言ってる。イヴァンがそんな訳ない・・・あ?」

カァーっと、それこそ顔をタコのように真っ赤にさせたイヴァンに流石のルキーノも、まさかという思いでイヴァンをジッと見つめた。

「まさか、本気か?」
「ば、馬鹿野郎!!んな訳ねぇーだろうが!この俺がそんな訳ねぇー!俺はてめぇーと違ってホモじゃねーんだよ!!」
「・・・・んー、なら確かめて良いか?」
「アァ?何が・・」

だ、とイヴァンが言い終わる前にルキーノはイヴァンのそれを自身のそれで塞ぐ。くちゅりと舌を這わせて、イヴァンの舌を舐めとった。唐突なルキーノの口づけに固まってしまったイヴァンから、ルキーノはその身体を離すと、イヴァンの下半身へと視線を向け、布ごしにそれを確かめた。

「・・・・・マジか。てか、キスだけで勃つとか、お前若いな。」
「つ、この、くそルキーノ。んな、てめぇーがエロいキスすっからだろうが!誘ってやがるのかよ!?」
「うおっ・・!」

血走った視線を向けられ、勢いのままイヴァンに壁に押し付けられる。あ、やべ・・・やり過ぎたか?

「・・すまんな。キスした事は謝る、だから落ち着けイヴァン。」
「アァ?てめーが悪いんだろうが、くそ!エロい表情しやがって。」
「おい、イヴァン?」

まずい。これは所謂、火をつけちまったってやつか?そんな事を考えている間にイヴァンが自身のスーツに手をかけ、それを脱がせようとしていた。って、おい。まさかここでか!?お前も場所を選ばんタイプか!?と盛大にため息をつきたくなった。しかし、どいつもこいつも、俺みたいなデカイ野郎を良く抱こうって気になるな。理解出来ん。どうしたもものかと、ルキーノは考えていると、ふいに自身の肩を抱かれ、何かによって引き寄せられた。

「流石の私も、これ以上はたとえフィオーレ幹部といえど許せませんね。この人は私のものなんで。」

そいつはそう言うと、イヴァンに見せつけるかのように深い口づけを仕掛けてきた。ルキーノ自身もキスの上手さでは自信がある方だが、相当場数踏んでやがるなと思わせるくらい、こいつも上手いから気持ち良いのだ、悔しい事に。イヴァン、本当スマンと心の中で謝罪して大人しくルキーノは部下からのそれを受け入れた。


















バタンと自室の扉が勢いよく閉じられる。腕を引かれベッドに横たわされて、ギシリとベットが軋んだ。部下がそんなルキーノの上にのしかかると、ネクタイを外しながらその口を開いた。

「隊長は誰とでもキスをされるんですか?」
「馬鹿、ありゃただのジョークみたいなもんだろう?」
「冗談でも、許せませんね。」

そいつはニコリと怖いくらいの笑みを浮かべると、サラリと恐ろしい言葉を口にした。

「いけない方だ。二度と他に手を出せないくらい、気持ち良くしてさしあげますよ。」
「・・・・いや、なるだけお手柔らかに頼む。」


そんな事を口にしてはみたが、結局宣言通りに気持ち良くさせられちまうんだろうなとルキーノは、まったくこの先女すら抱けなくなっちまったらどうしてくれると、諦め気味に苦笑を零すと、そいつの首に自身の腕を回したのだった。












私と彼と隊長と





END







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