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アル+ルキ






#アルフレード+ルキーノ
(*当サイトオリジナルキャラ注意)









 講義が終わっての寄宿舎への帰り道、アルフレードはその姿を視界に捕らえると、声をかけようとして、しかしその声をすんでで飲み込んだ。木にもたれかかりながら、そいつは瞼を閉じて規則的なリズムで寝息を口許から零している。風に揺らいだローズピンクの髪がさらさらと泳いでいた。

(なんだ、こいつ本気で寝ているのか?)

アルフレードは、珍しいものを見たというように、瞳を丸くさせた。普段こういった姿を見せようとしないルキーノがあまりにも無防備に寝ている事に驚きつつ、彼の横に自然とその腰を下ろしていた。余程疲れているのだろうか、自分が近寄っても起きる気配は無く、ルキーノの瞼は閉じたままだった。眠るその表情は普段の大人ぶったものと違い年相応の幼さを浮かび上がらせた。

(黙ってれば、こいつも可愛い顔してるんじゃないか。)

普段が普段で一応先輩である自分に対しても偉そうな口しか叩かないから、そんな事は思うわないんがな、とアルフレードは短い息を口許から零した。

(あぁ、だがそういえば・・)

時々ふとこいつを綺麗だと思う事があった。それは外見云々という理由でない。勿論ルキーノの顔はバランスの取れた端正な顔をしているが、そういうものとはまた違う。彼の生き方そのものが、アルフレードにとっては羨ましく思い、自分には出来そうに無いルキーノの選択がただ純粋に凄いと思った。信じたその人にその身を捧げる忠誠心を持ったコーサノストラとして、闇の世界に生きながら、その闇に完全には染まらない強さそのものが、綺麗なのだと。俺はきっとこの先そのようには生きられない。お前と俺とでは住む世界が違うのだと、こういう時思い知らされる。今の様にルキーノと共にいられる時間が長くは続かないのだと、薄々アルフレードは思っていた。それ故に、こんな事すら思う事がある。たとえば、

(お前になら。)

人生を捧げても良いななどと、お前のような生き方の選択が出来るかもしれないなどと、そんな事を考えた自分にアルフレードは可笑し気に笑い、眠るルキーノの髪を優しく撫でた。

(・・・こいつが闇に飲み込まれたりしないように、俺は願うだけだ。)


















それはもうただの肉の固まりだった、血の海の中で、ばしゃりとルキーノはひざまずき、呆然ともう残骸になったそれを見つめていた。声にならない絶叫がアルフレードには聞こえたような気がした。もう既にこの時、彼の世界から色が無くなっていたのだと。昔のような瞳に宿っていた光は消え、あいつの瞳は闇だけを映している。ルキーノの名前を紡ごうとして、けれどアルフレードにはそれが出来なかった。ギリッと唇を噛み締めて、守れなかった自分の不甲斐なさに吐き気がした。

(俺は、何の為に・・・)

何の為にルキーノの傍にいたのだろう、あいつについてきたのだろう。あの時守ると決めたくせに、あいつの大切なものさえ守れなくて、結果的に自分が守りたいと願った彼までも俺は失ってしまったのだ。あんなに綺麗だと思ったそれはルキーノからはもう失なわれてしまった。アルフレードはゆっくりとルキーノに近づいて、すぐそばまでくると、人形のように動かなくなった彼の腕を掴んで、歩く気力さえも無くしてしまったそれを支え、そこから離れようとした。こんな場所にいつまでもこいつを置いておく訳にもいかなかった。。すると今までピクリとも動かなかったルキーノが、急に狂ったように叫び、まるでその場を離れたくないとでも言うかのように、何度も何度も妻子の名を繰り返し叫び、暴れた。アルフレードは舌打ちを零し、ルキーノを必死で押さえ付ける。

「つっ、ルキーノ!しっかりしろ!!おい、誰か鎮静剤か何か持ってこいっ!!早くしろ!」
「つ、はいっ!」

暴れるルキーノに涙が出そうになった。ルキーノが捧げた人生の結果がこれだというのだろうか、俺が守りたいと思った結果がこれだというのか。そんな事があってたまるか。アルフレードは発狂寸前のルキーノを押さえ付けるように抱きしめながら、願うようにその瞳を閉じた。叶うならば、あの頃の時間に戻って欲しいと思ってしまう。でもたとえお前が闇に染まり、それに飲み込まれてしまったとしても、俺はルキーノから離れようとは思わなかった。

(CR:5でもそのボスでも無い。俺は、お前に・・・ルキーノ・グレゴレッティー、貴方に、この身は忠誠を誓うと約束する。)

そうだ、けっして迷いはしない。あの日に俺がお前に誓ったそれだけが、俺とお前の絶対なのだから。













あの日の誓い




END
・・・




あきゅろす。
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