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★short 24




#ジャンルキ
(ルキーノがMっぽい設定。)





















 俺には自分でも認めたくない性癖がある。それに気付いたのは身体も心もそれなり成長して20代になったあたりからだ。自分のこの性癖が子供の頃から築き上げてきた俺という存在を振る舞う日常で非常に厄介なものであるのは自覚していて、勿論それを普段の俺は必死で隠しているし、そんな自分を認めたくないからこそ、コーサノストラの男として完璧に己を磨きあげてきた。靴も服もネクタイも以下諸々も常に最高の職人が手がけた最高級なもので自身を着飾って、マフィアの幹部としてシノギに精を出し、周りから見ても欠点が何処にも見当たらない程の伊達男として俺はそこに存在している。シャレという訳では無いが、だてに「俺に惚れない女はいない」などという事を自称している訳では無かった。ただ唯一俺が誰にも言えないその欠点が周りに知られてしまったものなら、築き上げてきた今までの俺の存在を破壊しかねない程、それは難儀なシロモノなのだ。だから俺は絶対にそれを誰にも悟らせる訳にはいかないと思っていた。
























ドン・グレゴレッティー、また私たちのお店に是非来てくださいね。何時でも私達は貴方をお待ちしておりますわ。仕切りの店の女達の色を乗せた声に、にっこりとした笑みを浮かべてルキーノ・グレゴレッティーは、あぁ、また来させてもらうととびきりに甘い言葉を囁いて彼女たちに背を向けた。これはいつもの事だ。大勢のレディーたちに、こうして店に立ち寄り、オーナーとして顔を見せてやるのは、店を仕切る責任者としての責務であるし、結果的に俺が顔見せしてやる事で彼女達の士気にも繋がっている。自分にとっても彼女達にとってもそれが必要な事なのだ。ルキーノは胸元からシガレットケースを取りだしてその一本を口になえ、目の前の迎えの車にふと視線をやると、その車に寄り掛かってこちらに手を振っているその男が自身の視界に映る。嬉しいような複雑なような不思議な気持ちが湧き出て、フッとルキーノは口元に苦笑を浮かべるとその金色の髪をした男の目の前に歩を進め、ヒラヒラと手をあげた。

「よう、確かに俺は迎えの車をよこすように本部に伝えはしたが、ボスのお迎え付きというスペシャルコースは頼んだ覚えは無いんだがな?」
「そうつれない事言うなって。アンタにそんな事言われっとまじ傷つくから。俺って実は結構繊細なんだわ。」

本気なんだかそうで無いのか解らないような言葉をその男ジャンカルロは笑いながら口にして、車によっかかっていたその細い身体を起こした。

「今やこの俺を顎で使ってるCR:5のボスが、何を言ってる。それで、お前はいったいこんな所で何をしてるんだ。」
「んー、調度区切りのいいとこにアンタからの連絡きたからさ、せっかくだからルキーノに会いたいなーと思って部下くんに連れてきてもらっちゃった訳よ。なに、そんなに嬉しい?」
「あほこけ。馬鹿な事言ってねぇーで、本部にさっさと戻るぞ。」

そんなジャンの様子に呆れたようにルキーノはため息をつくと、奴の金色の頭をくしゃりと撫でて、先に車内に入るように促した。それに大人しくジャンは車に後部座席にその腰を鎮めるのを確認してからルキーノもまたその腰を下ろし、その身を落ち着けた。

「こうやってアンタと並んで車に乗るの久し振りな感じ。この頃本部に缶詰状態で書類整理とか事務ばっかだったからな。」
「そういやそうか。つまり俺からの連絡がその雑務からの逃げの口実に調度良かった訳だな。」
「んもーまたそういうつれない事言う。」

ジャンはニヤリと笑ってルキーノの頬に軽くキスをすると、ルキーノは眉間に皺を寄せて不機嫌そうな顔をしたが、それでも嫌だとは言わなかった。ルキーノのようなコーサノストラの中のコーサノストラな良い男が自分のものだなんて、今でもジャンは信じられなかったが、実際にジャンにとっては彼が最高にかっこよくて可愛い自分の彼氏で、その事にこんなにも優越感を感じている。しかももっと信じられないのが、この男が俺に抱かれてるという事実だ。いざそういう事をおっぱじめようとする時に嫌そうな顔はするものの、やはり彼が抵抗したことは無い。本来のルキーノの性格ならば、絶対許してくれそうにないが、それをジャンは許して貰っているのだ。愛されてんなー俺っと無意識にニマニマした顔をしていたのか、ルキーノはだっらしねー顔すんなみっともないと、言ってくるが幸せ絶頂なジャンにその言葉は何処吹く風状態だ。

「んで、どうする?」

ルキーノと甘えた声を出して耳元で囁く。ジャンの言葉はどの女よりも凶器だ。このままジャンの誘いに乗せられたい誘惑にかられそうになるのをルキーノは、どうにか自分自身のプライドでねじ伏せた。

「いや、帰ってまだやることがあるからな。」
「ふーん、けど本当にそれで良いのかルキーノ?」

ジャンの手がルキーノの太ももを撫で上げた。その瞬間ゾクリとした感覚が背筋を這い、ルキーノの身体が微かに震える。頬に走った熱を誤魔化そうと口を閉ざして窓の外へと視線を逸らすが、グイッと顎を掴まれて無理やりにジャンの方を向かされた。

「なぁ・・我慢、出来るのかよルキーノ?」

出来ないんだろ?と琥珀の目がまっすぐと自身を捕えてくる。この目にルキーノは弱かった。こうジャンにせまられると、どうしてだか強気に出れなくなる。

「・・つ、ファンクーロっ。」

ジャンの存在が今までの自分というものを壊していく。作り上げたそれをジャンは簡単に崩してしまう。それを不服に思いこそするが、ジャンにそれをされる事自体は嫌では無いのだ。ただ簡単には認めたくないだけで。ルキーノは小さく罵倒を零すと、ジャンの肩に自身の両手を置いて、我慢出来ないかのように彼の唇に噛みつくように口づけた。そんなルキーノの姿にジャンは唇同士が触れ合う直前に口角を上げるのを、ルキーノは気付きはしたが、もうそんな事はどうでもよくなっていた。





























「く・・・ん!」
「つ、ほら・・もっと腰上げろって・・この体格差じゃ、あんたが頑張ってくんないとキツイんだって・・」

玉のような汗を流しながら、ジャンは僅かに眉を細めて、ルキーノの足を更に折り曲げて奥深くへと彼の雄を進ませる。

「つ、おい・・・ジャン!」
「ん、やっぱこんだけじゃ、足んない?あんたエロイ事大好きだもんなー。」
「ば、そんな事は・・」
「すごいぜ?ルキーノの中。泡立ってぐちゃぐちゃ。」
「馬鹿やろっ!んなこと・・わざわざ言う必要ないだろうが!」
「何言ってんだよ。まさかアンタ自分の状態に気付いて無い筈ないだろ?」

ニヤリとジャンはいやらしく笑って、ルキーノの内またにチュッと口づけると、舌を這わせてくる。舌の滑る感覚にカッとルキーノの頬に朱が走った。

「恥ずかしい言葉言うとさ、アンタすっげー反応良いんだぜ?締りも最高。」
「アホか!つっ・・あ・・」
「んっ、っい・・きなしそんなに・・絞めんなよルキーノ。出ちゃうじゃん。」

くそ、やっぱばれてやがる。ルキーノはジャンの言葉にチッと舌打ちを零し、ジャンの追求から逃れようと視線を横にそらせた。非常に認めたくないが、どうやら俺は自分に向かって罵られたり、意地悪されたりそう言った類の言葉を投げかけられると、どうも逆に喜んじまう性質らしい。認めちまった方が楽なのは百も承知だが、つまりは俺のプライドの問題な訳で、はっきり言って認めたくない切実に。そういやシャーリーンに惚れたのも、自分に臆する事なく可愛い顔してきつい一言ぶちかまして言ったからだったなーあはは、つまりその頃からそういう素質があった訳だ、認めたくないが。

「なぁ、あんたってぜってーエムだろ?」
「そんな訳ないだろ。」
「いや、あんた典型的だって。」
「・・違うって言ってるだろうが。」
「たく、あんたも認めたら楽なのにな。」
「認めてたまるか、下らないことごちゃごちゃ言ってないで、早くしろ。」
「んもーせっかちなんだから。そういうとこも可愛いんだけどさ。」

可愛い訳あるか、お前の目は節穴か。そんな事を思ってふと最初こいつに抱かれた時の事を思い出した。そういや、こいつは最初から俺の事をそういう風に言ってたな。どういうわけかこういう立ち位置に落ち着いちまったのも、こいつに絆されまくった俺が悪いのかもしれない。

(っつ、だからお前な。俺みたいなのが、あんあん言っても気持ち悪いだろうが。)
(気持ち悪くねーよ、あんた可愛いもん!)
(いやそれはお前がおかしい。俺みたいなでかい男が喘いでもひくだろ、普通。だいたいお前の方が可愛いんだからお前が抱かれるのが順当。)
(ひかねーって!俺がルキーノ抱きたいんだよ!)
(お前なぁ・・)
(あんたの泣いた顔見たいし、俺の下で喘いでる姿も見たいし、俺に縋ってくるアンタも見たいし・・)
(おい、ちょっと待て。)
(何よりアンタを愛してるの俺は!)

まぁ、これでジャンに頭やられた俺も相当だが、俺を抱きたいとか抜かしやがったジャンも相当だ。あとその後ジャンが言った言葉にもやられたんだ俺は。

(なぁ、ルキーノ。俺のものになれよ。)

不覚にもときめいちまった俺。CR:5の次席幹部ルキーノグレゴレッティーがなんて様だ。今までの俺は何処行った、何処に疾走した?つまりお互いに相当相手に対していかれてて、まぁ、俺のこの性癖がジャンにばれるのは時間の問題だった訳だが、俺は隠し通すつもりだった。結局ばれたんだが。

「なぁ、今度・・道具とか使ってみる?」
「アァ?」
「だって、ルキーノ俺のサイズだともの足らないだろ?」
「はぁ!?お前何を言って・・」
「それとも、ルキーノの手とか縛ったままやってみるか?」
「何処のSMプレイだ、それは!」
「だってルキーノ、エムじゃん。」
「断じて違う。俺は痛みで感じるタイプじゃ・・あ。」

失言。無意識にひきつった顔をルキーノは浮かべると、ジャンはこれでもかというにっこりとした笑みを向けた。

「つまり、恥ずかしい台詞の類で感じるんだな、ルキーノは。」
「待て。ジャン落ち着け。」
「待たない。って事で第二ラウンドな?」

そう言って王様のごとく君臨したジャンが黒い笑みを浮かべルキーノを見下ろした。














テンデンシー
(「なぁ、俺達やっぱ相性バツグンじゃね?」「・・・もう、どうにでもなれ。」)










END

(ごめんなさいの一言。赤面ルキーノネタ考えてたら先にこんなのが出てきた。ジャンがルキーノにどういう言葉攻めをしたかはご想像におまかせします。とにかくジャンにときめいてる可愛いルキーノ書きたかったの。大分気持ち悪くなったけどな!結局ルキーノM設定生かし切れないまま終わる。)







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