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short 17




#ジャンルキ+ベル









 先程ベルナルドに早急に来てくれと電話で呼び出されたルキーノは本部に着くと直接彼の仕事部屋へとその足を向けた。現ボスであるジャンカルロの教育係でもある自分は何かとベルナルドに呼び出される事が多い。ボスとなった今でもジャンには覚えて貰わないといけないものが山程ある。だからその為のちょっとしたお勉強の意味もかねてベルナルドの仕事の一部を任される時があった。それはベルナルドが出張でデイバンを離れたりだとか、とてもベルナルド一人では処理仕切れない量だったりとかした場合ではあるのだが、その度にまずはベルナルドは教育係である俺を呼び出す。最終的にジャンの細かい日程を決定するのは、俺とベルナルドが負っていたからかその手の事はジャンの前にまず俺に話が来るのだ。ただその頻度が高いのは少しだけ筆頭幹部殿が他の事で忙しくてジャンの傍に居られないのになという、ジャンの教育係である自分への嫌がらせという気もしなくは無い。
 言いたかないが、それは私怨じゃないのか筆頭幹部殿。
 ルキーノはベルナルドの仕事部屋の入り口に張り付いている彼の部下に目線を配り声をかけると、そいつは承知したようにスッと身体を避け、ドウゾと部屋へと促した。ルキーノはお疲れさんと部下へとそう零すと、その部屋の戸を叩いて応答を待つ。直ぐにベルナルドの入れという声が自身の耳に届き、遠慮せずにルキーノはそこへと足を踏み入れた。しかしその瞬間真っ先に目に入ったのは、ベルナルドの机上に積み上げられている書類の山だった。ルキーノは眉をしかめ、そしてあたかも当然のようににこやかに、いや少しだけ疲れたような笑みを浮かべている幹部筆頭を目の前に嫌な予感が頭の中に過る。

「ベルナルド。」
「ん、何だい?ルキーノ。」
「確かお前午後から出張とか言ってた、よな。」
「あぁ、そうだが?」

ニコニコといっそ殴りたいくらいの笑顔でベルナルドはこちらが呆気に取られる程あっさりと頷いた。

「すまん、それまでには終わらせるつもりだったんだが予定外の事の処理に追われてね。」
「つまり・・」
「・・・あぁ、その頼まれてくれるか?お前がこれをチェックしてジャンにサインさせてくれれば良い。」

だよなと、あまりの書類の量にルキーノはぐったりときそうになった身をもち直し、そっとその口元から息を零した。

「別に構わない。お前の嫌がらせじゃないならな。」
「それもある。」
「おい。」
「冗談だよ。」
「アンタのは冗談に聞こえないんだが?」
「ハハ・・まぁ流石にこの量を一人で片づけるのには少々無理があったようだしね。けど仕事を他人に采配出来るようになった事を褒めて欲しいな。」
「あぁ、それは進歩だな。俺とジャンがギャーギャー言った甲斐があるってもんだ。筆頭幹部が倒れられてたらこっちが困るってな。」
「あぁ、流石に俺もあれには参った。まったくお前もジャンも相当なお節介焼きだな。」

クスリとベルナルドは可笑しげに笑みを浮かべると、腕にある腕時計を確認してイカンとその目を細める。

「そろそろ出る。後は任せた。」
「あぁ、それなりの結果期待してるぜ?」
「俺がわざわざ出向くんだ。当然だな。」

そうベルナルドは笑うと、俺への引き継ぎをさらっと説明してから、その部屋を出ていった。ルキーノはくるりと机上のそれへと目線を向けるとはぁーと再び深い息を零した。こういう類はあまり好きじゃねーってのに。仕方無いとルキーノは自分の部下に俺の部屋からあるものを持ってくるようの頼むと、それに向き合うようにして腰を下ろした。


















「あぁぁー!!」
「あぁ・・来たかって、何だ大げさに。」

ルキーノは挨拶周りから帰ってきたジャンに視線を向けると、何だか目をきらきらさせた彼の様子に胡乱気に眉をひそめる。

「ルキーノって眼鏡かけてたっけか?」
「ん?あぁこれか。」

ジャンの言葉にあぁと納得の声を漏らしてルキーノは目にかけられたシンプルなノンフレームのそれを僅かに上げた。

「普段はかけないんだが、最近どうも近いものが見えづらくなってきてな。長時間細かい奴確認する時は疲れないようにかけるようにしてるんだが、なんだ知らなかったか?」
「いんや、ぜんぜん。」

てかルキーノが眼鏡かけるって事がなんか新鮮だなとマジマジとジャンが自分の顔を覗いてくる。ルキーノはそんなジャンに呆れた声を零すと、ジャンと彼の名を呼び、自分が確認し終えた資料をジャンへと渡す。

「何だよ?」
「これ、俺が確認してやってる奴片っ端からサインしろ。」
「うげ、まじかよ。」
「あぁ、大真面目だ。出張中の筆頭幹部殿からのささやかなプレゼントだぜ?」
「ベルナルドの奴、俺に休ませる気はねぇーのか。」

今日は早く上がれると思ったんだけどなと愚痴みたいなのを零すジャンにルキーノは苦笑を零すと、ポンポンとその頭を宥めるように叩いた。

「なら、早めに終わらせちまおうぜ。どうせ今日はこれで終わりだからな。」
「んーでも、ちょっとやる気が・・」
「おいおい、カポのお前がそんな事言ってどうする。」
「だってよー・・・あ。」

話の途中でジャンは何か思いついたのか言葉をとぎらせて、ルキーノを見た。何だか嫌な予感がしてルキーノの眉間に無意識に皺が寄る。こんな反応する時のジャンは絶対にろくでもない事を考えているのは経験上解る。

「なぁ、ルキーノ。」
「却下だ。」
「まだ何も言ってねぇ。」
「どうせ、下らない事だろ。」
「下らなくねぇ。あのさ、ルキーノそれかけたまま、一回しない?そしたらやる気出るからさ。」

やっぱろくでもねー事考えてやがった。ルキーノは思いっきり嫌な顔を浮かべてジャンを見た。そんな自分の態度にも関わらず、ジャンはニコニコとその顔に笑みを浮かべている。ますますその様子にルキーノの眉間の皺が増える。

「いやだってさー、ルキーノのそれ、はっきり言って普段よりストイックに見えるからそそるんだよな。禁欲的っつーか、すっげー勃起もん。エロイっていうかなんて言うかさ。あんた元からえっろいけど、更にって感じ。」
「・・・アホか。」

ジャンの言葉にルキーノは大きなため息をつきたくなった。もうどうしてくれようこいつはと、手で思わず顔を覆う。

「もうそんな事言っちゃってー本当は嫌じゃないくせにな。」
「不満くらいはある。」
「でも、好きだろ?」

いつの間にかジャンに自分の背後に回られ肩を掴まれて机上に押し付けられた。重なっていた資料がその衝撃でパラリと床へと散らばる。くそ、整理し終わったばっかだってのに。

「おい、まさか此処でやる気か?夜まで待てんのか、お前は?」
「ごめん無理。良いだろルキーノ?」

シュルリと自身のネクタイを解いて、余裕なく俺に触れてくるジャンにルキーノはやれやれと呆れたようにため息をついた。どうもこの頃、こいつのなす事する事に、甘くなってる気がする。俺がこっち側なのは非常に不満ではあるのは変わりないが最終的にこいつを拒みきれない自分がいるのも確かだった。

(けど、だ。)

ルキーノはぐいっと迫ってきたジャンの顔を掌で押しのける。なんでもかんでも流されてやるほど俺も甘くないと身体を起こした。そしていつの間にか外されていたシャツのボタンとネクタイの体裁を素早く整えた。

「だーめーだー。これ終わるまではな。」
「っつ、・・鬼ですかアンタ。」

ここまできてとしょんぼりと眉を下げるジャンに、しょうがないなとルキーノは苦笑を零した。その際にくしゃりとジャンの金色の髪を撫でる。

「まぁ・・・これ終わらせたら何でも言う事聞いてやるから。」
「マジで!?」

その瞬間何故かジャンに犬の耳と尻尾がルキーンには見えた。ピョコンととび跳ね、嬉しそうにその目を輝かせたジャンにルキーノはくそ、墓穴ほっちまったと少しだけ後悔したが、それでもまぁいいかと思ってしまった事に、やっぱり自分はジャンに甘い気がするなとそう思った。





























翌日、出張から帰ってきたベルナルドはその二人の対照的な様子を見て、楽しげに口元に薄く笑みを浮かべる。普段は滅多にかけないその眼鏡をルキーノはかけて、眉間に皺を何本か寄せて不機嫌そうにしているが、その隣でジャンは鼻歌を歌いそうな程ご機嫌だ。

「ルキーノ。それは何のお遊びだと聞いても良いかな?」
「・・・・・聞くな。」
「んー、ルキーノは今日俺の専属秘書だから、勝手に呼びだしちゃ駄目だからね?ベルナルド伯父さん?」
「おや、カポの専属秘書とは、光栄じゃないかルキーノ。今日一日完璧に全うしてくれよ?」
「・・・面白がってるなベルナルド。」
「当然だな。」

だってお前のそんな姿なんて貴重だろうと、ベルナルドはそう言って笑みを浮かべると、ルキーノはどいつもこいつも物好きめと、長いため息をその口から吐きだした。













ギャップ









END
(ルキーノの眼鏡ってエロイと思う。あ、省いてますが勿論、夜にいたしてます。ジャンルキって何故かこういうの書きたくなる。)










あきゅろす。
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