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short 14




#イヴァジャン+ルキーノ(元拍手)




















 確かに、戻るのが面倒臭いと思う事はある。一日のシノギを終わらせて、疲れきった身体を引きずってわざわざ本部に戻るのは正直辛い。たまにはパーと騒ぎたいと思っても罰は当たらないってもんだ。







シノギの後は








「・・んでさー、ベルナルドの奴、寝ぼけて頭の上に眼鏡あんのに、見つからないなーとか言って、手探りで捜してんのなんて、しょっちゅうあるんだぜ?」
「ハハッ、馬鹿でーい。あの野郎、普段はクールぶってる癖に、なんつーマヌケだよ!」
「あいつさ、意外に抜けてるとこあるっていうか何て言うか。」
「まぁ、要するにアホってこったろ。あ、そういやアホつったら、ジュリオの野郎も、お前に関しちゃ、時々そうだよな。」
「あぁ、まぁ確かにな。」

騒ぎたい時もある、そうは言っても、この状況はどうなんだと、ルキーノは自宅に帰るなり、リビングから聞こえてきたそれらの声に思わず頭を抱えたくなった。
ルキーノが朝、この家を出た時には消した筈の自宅の電気が遠目から見た時についてたから、嫌な予感はしたんだ、予感は。そんな思いを胸に抱きつつ、ルキーノは玄関からリビングに通じる廊下を横切り、扉のノブへと手をかけた。目の前に広がる惨状に、眉をひそめ、やっぱりかとその口元から深い息を吐き出す。

「お、ルキーノお帰りー。」
「よう、邪魔してるぜー。」
「お前ら・・」

俺の家を何だと思ってる。てめぇーらの憩いか、たまり場か。宴会場でもないんだぞ。

「・・・疲れて仕事から帰ってくるってのに、お前らは俺をゆっくり休ませる気は無いのか?」
「ケチな事言うんじゃねーよ。俺らだって、さっきシマを回り終わったばっかだっつーの。」
「んで、やっぱ疲れてたし、ルキーノの家が近いなーと思ってさ。」

ちょいとばかし借りてるぜーと、ジャンがルキーノに向かって、ウインクを飛ばすが、それすら応える気にもならないくらい、ぐったりきた。

「・・・鍵は?」
「そりゃ、アンタ・・」

俺の特技知ってるだろ?と、指先でちょちょいと針金で開ける仕種を真似する。あぁ、知ってるさクソッタレ。だがそれを不法侵入って言うだよ。
罵倒を繰り返しても、おそらく目の前のこいつらにとっては何処吹く風なんだろうがな。

「とにかく、別に俺の家を使うのは良い。だがな・・」

ギロリとルキーノの目が、それへと注がれる。机に散らばった、ポテトチップス、他菓子累々、ホットドックの食いかけ、ジン、ウォッカ、テキーラ以下略。

「この馬鹿野郎共。てめぇーらが食い散らかしたそれを片付けろ、早く、迅速に、速やかにだ。」
「えー、さっき広げたばっかよ、コレ?」
「アァー?細かい事気にすんじゃねーよ。」
「気になるから言ってんだろうが、ん・・っ、しかも、まさか・・・お前らっ!!」

二人に近づいた途端、特有の汗の臭いが鼻をつく。ルキーノは口許をひくつかせながら、あまり聞きたくないが、と嘆息を零して、苛立ち気に腕を組む。

「まさか、とは思うが。風呂・・・入ってないとか言うんじゃないだろうな?ん?」

それを聞いてやると、あ、やべと、二人してこちらからバッと目を反らしやがった。
成るほど、まずいという自覚はあるわけだな。

「ちなみに、何日だ?」
「・・・四日。」
「ハハハ、三日?」

そうか、そうかーイヴァンはともかく、ボスになる予定のお前もか。これは俺の教育がまだまだ甘かったって事だな。って事で次は覚悟しとけよジャン。爺様と一緒に、こってりしぼってやる。
 二人の返答に、それはもう、にこやかな笑みを浮かべたルキーノは、二人の首根っこをガシッと掴むと、ズルズルと引きずって、二人を風呂場へと連行する。

「ワワワ・・・な、何すんだよいきなり!!」
「オイ、テメェー離せこのボケ!まだ酒とか残ってるっつの!!」

二人が喚くが、無視。そんなん俺の知った事じゃない。

「先にまず風呂に入ってからだ。そんな汚ねー身体で、俺の家に足を踏み入れるな。」
「あれ、片付けるんじゃなかったのかよ?ルキーノ。」
「勿論、後できっちりやってもらうぞ。だが、まずは風呂だ。」

そんなナリで、リビングにいられる方が我慢ならん。

「お前ら面倒臭いから、一緒に入れ。その間になんかツマミでも用意しといてやる。」
「マジで?ルキーノ作ってくれんの、ラッキー!」
「・・・・・それを期待して来たとか言うんじゃないだろうなジャン?」
「ハハッ・・一部有り。」

おい。俺は、お前らのおさんどんでもねぇーぞ。そう心の中で突っ込みを入れつつ、だが何だかこいつらを見てると、世話を焼かずにはいられないというか何と言うか、俺も損な役まわりだな。
 ルキーノはバタンと二人を風呂へと押し込めると、脱ぐタイミングを見失っていたスーツを漸くクローゼットへとかけ、ワイシャツを少しだけ捲ると、クルリと、机の惨状へと目をやる。

(あいつら、好き勝手やりやっがって・・)

自分のテリトリーが散らかってるという状況は不満ではあるが、人の広げたのを片づけてやる程俺は甘くは無い。自宅に備え付けてある冷蔵庫へと足を向け、まずは中に入っていた飲料水を取り出して、それをグイッとルキーノは煽った。

(さてと・・)

調理台にあるものを見渡して、ペンネが入った袋に目を付ける、そういやホール缶があった筈だよな。それなら直ぐに作れるなと、冷蔵庫からお目当てのものを見つけると、その中身を皿にあけた。後でトマトは潰すとして、と。ルキーノは棚にしまってあった鍋を取り出し、それに水を入れ、火にかけた。
 何で俺がこんな事しなきゃならないんだと、文句をたれつつ、その腕は滞る事無く、ペンネを作る手順を踏んでいた。

(たく、この腕は男に馳走してやる為のもんじゃねーってのに。)

それでも、そうそう性格は変えられない自分に、ルキーノは苦笑を零した。





 暫くして、ペンネが茹であがり、それをザルにルキーノはあけると、それにくっ付かないようにオリーブオイル垂らしておく。フライパンに上がったアラビアータも我ながら文句無い上手さだと、ルキーノはペロリと舐めて出来上がりを自賛した。

(それにしても、あいつら遅いな)

そう思った所で、ピタリとルキーノの動きが止まった。また嫌な予感がルキーノの頭の中を横切る。いやまさか、人ん家でそれは無いだろうと、ルキーノは苦笑いを浮かべ、その予感を打ち消そうとしたが、いや待て、やりかねんなと、再び動きを止める。今更別々に入らせるべきだったかと、後悔しても遅いかもしれないが、何にしても俺の家でそんな事になってやがったら、ただじゃおかんぞ。ルキーノは調理場から風呂場の方へと足を向けた。









「ちょ、おい馬鹿イヴァン。やめろっつの、此処ルキーノの家!」
「うるせー、風呂一緒に入って、我慢できる訳ねぇーだろ。ばれやしねーよ。」
「長い間出てこなかったら、ばれっるっつの!」
「んじゃ、十分で終わらすから、頼む。ジャン。」

頼むじゃねーよ、このボケ!と、叫ぼうとしたジャンの唇を後ろからイヴァンは強引に塞いでくる。だぁー、なんだってこいつは我慢がきかねーんだと、叫んでやりたい気持ちで一杯だったが、イヴァンに胸やら腰やらをま探られてる内に、その思考もあやふやなものになっていく。俺はいつから、人の家でも盛れる淫乱になっちまったんだと泣きたいような、むしろ笑っちまいたいような、そんな複雑な思いをジャンは抱いたが、そんな中でも、イヴァンの行為はエスカレートしていき、快感の波を徐じょに引き出していった。
それでもイヴァンの余裕の無い面を見た瞬間、まぁいっかと思ってしまった自分も相当焼きが回ってる。仕方無いなと、溜息をジャンはその口から零すと、イヴァンを向き合うためにその腰を上げた。









「お取り込み中のとこ悪いんだがな。」
「うわっ!!」
「うおっつ・・・っつ!!」

だが突然、ルキーノの声がふってきて、慌てて圧し掛かっていたイヴァンの野郎を蹴り返す。その不機嫌な声にイヴァンもジャンも風呂の入口の方に思わず顔を向けた。

「裸のまんま、家から叩き出されたいか?お前ら。」

いや、もう本当すみません。人の家で。ジャンがアハハーと乾いた笑みを浮かべると、ルキーノは心底疲れたように息を零す。

「たく、さっさと上がってこい。ペンネ、俺一人でくっちまうぞ。」
「マジ?行く行く。」
「あぁーくそっ!解った、出るっつの。」

そうして、ルキーノに言われるがまま大人しく、風呂から上がった後は、部屋の片づけはきっちりとさせられ、けれどルキーノの作ってくれたアラビアータのトマトソースは美味しかったので、まぁ、良いかと言う事にする。















とりあえず、今んとこ俺らの周りは平和です。
(けど、ルキーノやカヴァッリ顧問にみっちり絞られる時間は増えました。)















End
(突っ込み所、満載。)







あきゅろす。
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