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short 5




#ベルナルド+ルキーノ






 CR-5の筆頭幹部にして財政顧問殿は、朝から机の受話器と山積みとなっている資料と格闘中ときてる。判断力や決断力はピカイチ。あらゆる情報に網を張っているので、作戦指揮官としての力も申し分ない。しかしそんな端から見ても完璧に見える筆頭幹部にも苦手なものはある訳で。






中身は見た目じゃ決まらない








ルキーノ・グレゴレッティーはその日にあった出来事を報告しようと、ベルナルドがいるであろう仕事部屋へとその足を向けた。しかし今日報告する事など、精々自分しきりの店の利益っが先月っよりは上々である事と、ある店で店長が売上金の嘘の報告書をでっちあげていたというなんとも平和ぼけたことしかネタが無い。あえて言うなら今自身が持っている領収書は、あまり平和的額という訳では無いという事くらいだ。また筆頭幹部殿に溜息を付かれそうだが、そこは必要経費ということで許してもらうしかないだろう。そんな事を考えながら、ルキーノはエレベーターで上がり、用があったその部屋の前へとたどり着く。目の前の戸を普段のように強めに叩いた。

「俺だ。入るぞ。」

常ならばベルナルドが返事をする所だが、その声が無かった。しかしルキーノは構わずその戸を開き、部屋へと足を踏み入れる。

「ベルナ・・と。」

ルキーノが踏み入れた途端、目の前に多量の紙の山が床にまで広がっていた。いや散らばっていたの方が正しいだろうか。この惨状は随分と久し振りな気がしたが、別段ルキーノにとっては珍しいという訳でも無い。ルキーノは溜息を一つ零すと、入口から奥にあるその部屋を占領していると言っていい、机の前へと歩み寄った。

(・・やっぱりか。)

案の定机上の資料に埋もれるかのようにしてそいつは、ベルナルド・オルトラーニは眠っていた。ルキーノの存在に気付く気配もない。確か記憶では三日程この男は十分な休息すらも取れていない筈だ。ルキーノ自身もここ最近は忙しかったが、彼程では無い。どこかで堕ちるなとは思っていたが、ベルナルドの様子を見る限りでは今日がその限界だったらしい。自分が来ても目を覚まさないとは余ほど疲れてるな、それともやはり髪を気にする歳になっちまったからか。失礼な事を頭に思い浮かべ、ルキーノは嘆息をその大きな口許から零し、机上にある資料へとその手をかけた。

(一先ず・・ベルナルドが埋もれている資料をどかして、整理する所から始めるかね。)

アンタの苦手なものが実は自己の体調管理と、資料の整理整頓なんて、ジャンに知られたらカッコ悪いぞ筆頭幹部殿。ルキーノはその手に資料を集めながら、その様を想像し、可笑しげにその口元を上げたのであった。





END
(ベルナルドって、何もかもに細かそうに見えて、実は整理整頓が苦手だと良い。ルキーノは細かいとこまで、神経質だと良い。)




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