短編
1
人里離れた山の中。傍から見れば廃屋と見間違える程荒れ果てている家から声がする。
「やああっ、イ、イく! も、ダメェ、ひぐっ、んあ! 揺すらないで、あっ、んん!」
声の主である小野井和志(おのい かずし)は、恥も外聞もなく情けない喘ぎ声を上げていた。
首には所有の証である首輪がつけられている。
そして顔を真っ赤にして四つん這いになり、抵抗することなく男のそれを自分の後孔に受け入れていた。
しかし小野井を犯している相手は人間ではない、茶色の毛並みの大型犬だった。
犬はただ欲望のままに小野井に腰を打ちつけ、ハッハッと荒く息を吐いている。小野井は涙を流し、苦痛と快楽の狭間で揺れていた。
そんな人間が犬に犯されるという異常な状況を、髭面で巨体の男は椅子に座って眺めていた。
顔には嬉しそうな表情を浮かべ、微笑ましそうにその様子を見つめている。
「もっ、ホントに、ひぐっ、ああ! ム、ムリなのに、いやっ、ダメ! こんな、いやああ!」
小野井はすすり泣きながら、犬と男に限界だと訴えた。
しかし男はそれを聞くと、先程までほころばせていた顔をしかめ、泣き言をいう小野井を叱りつけた。
「せっかく千太(せんた)が相手してやってんのに嫌だと? もっと喜べ、この雌犬」
男は小野井のことを蔑み、恩知らずだと罵った。
「……っ! ご、ごめんなさい、俺、っうぅ! お、俺なんかに、種つけして、いただき、あ、ありがとう、ございますっ!」
声を詰まらせながら、犬に対して感謝させられる小野井の姿に、最早人としての尊厳はなかった。ただ弄ばれ、打ち捨てられる玩具のようだ。
小野井の言葉に気を良くした男は、足を組むと満足そうに交尾の様子を見ていた。
犬はようやく射精に至ったようで、性器のコブで抜けないようにしてドクドクと小野井の中に精液を注ぎ込んでいく。
「あっ、あっ……中に、いっぱい! うっ、ぐぅ、ありがとう、ございます……!」
いつも中に出された際には、犬に対して感謝するよう言いつけられていたので、小野井は屈辱に顔を歪ませながらお礼を言った。
しかしそれは中々終わらず、小野井はうわ言のように何度も感謝の言葉を繰り返した。
「分かるか? お前の中に千太の子種がたくさん入ってんだ。これで千太の子を孕めりゃあ良かったんだがなあ」
「うぅ、は、孕む? 俺が、そんな、っああ! ん、んぐっ、いやっ、お腹がぁ!」
犬の長い長い射精のため、小野井の腹はすでに精液で満たされていた。
あまりの苦痛に、少し揺り動かされただけでも悲鳴が漏れ、男の顔を曇らせる。それに気づいた小野井は、慌てて取り繕った。
「はっ、ああ、俺を……も、もっと犯して、孕ませて、く、ください、ん、やぁ!」
小野井は苦痛も忘れて、媚を売るように必死で犬に尻を擦りつけた。屈辱を噛み殺していた顔も、次第に緩み惚けたようになっている。
犬はようやくすべて出し切ったのか、小野井から肉棒を引き抜くと、飼い主である男の元へ戻って行った。
残された小野井はぐったりと横たわり、しゃくりあげながら嗚咽を漏らす。
「ひっ、ひぐっ……あ、ありがとう、ございます……っうぐ、俺なんかを、犯して、いただいて」
男はじゃれてくる犬の頭を撫でながら、泣き続ける小野井を一瞥した。
「どうやら、千太もお前のこと気に入ったようだな。ようやく雌犬らしくなってきたじゃねえか」
「はい、俺は……うぅっ、淫乱な雌犬です。とっても、気持ちよかったです」
小野井は弱々しく体を起こし、勃起した肉棒を晒しながら、男にすり寄っていった。
男はそんな小野井の頭を、じゃれつく犬と同じように撫でながら愛おしそうに見つめていた。
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