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短編

水源に到着し、交代で見張りをしながら体を洗い流すと、二人はそそくさと宇宙船に戻った。

そして仕事部屋にある椅子に向かい合って座ると、お互い黙り込んでしまう。

寝起きは頭も混乱していて多少は羞恥心も感じなかったが、こうして落ち着いてくると昨日のことが思い出され、気恥ずかしさからしゃべるのがはばかられるのだ。

しかしミカミが重々しく口を開き、沈黙を打ち破った。

「夢魔というのがいるだろ、ほら悪魔の一種だ。あれは人間の精気を吸うというが、まさにあの白いのにピッタリだな」
「綿菓子は悪魔じゃないです! そりゃ、昨日のことはありますけど……生きてくためにはしょうがないことですし……悪気があるわけじゃないですよ」
「そっちの方がよっぽど質が悪い」

ミカミはきっぱり言い放ち、踵を返すと何やらキーボードを打ち込み始めた。

イトイはいぶかしげにディスプレイを覗き込む。

どうやら報告書をまとめているようだったが、問題はその内容だった。

「なっ! ミカミさん、昨日のことも報告するんですか!?」

イトイは慌ててミカミの肩を掴み、それをやめさせようとする。

しかしミカミはそれをうるさそうに振りほどくと、咎めるようにイトイを見た。

「仕事の邪魔だ。お前は綿菓子の様子を見て、記録をまとめてこい。飯はその後だ」
「やだ、そんな……口でしたり、俺がミカミさんに入れたり入れられたりしたことまで、事細かに書くんですか……」

真っ青な顔で尋ねるイトイに、ミカミはため息をつき、納得させようと試みた。

「あんな珍しい生態の生物は、ちゃんと調べないと駄目なんだ。それに心配するな。官能小説じゃないんだから、昨日のことについては最大限ぼかして書く」
「でも読んだ人には、俺がミカミさんとヤッたって分かるじゃないですか!」
「こんな仕事してれば色々ある。今回は命の危険がなかっただけマシだと思って我慢しろ」

ミカミの言葉は慰めにはなっていなかったようで、イトイはすっかり元気をなくし肩を落とした。

見かねたミカミは、イトイの背中を叩き元気を出せと励ますのだった。

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あきゅろす。
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