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短編
8
巳堂による監禁生活は肉体的にも精神的にもギリギリの状態を強いられた。常に全裸で息の詰まりそうなコンクリートの部屋に押し込められ、食事は残飯のようなご飯。

時折巳堂が用事で来られない時は、コンビニの菓子パンを腹が減ったら食べろと渡されていたが、その時ばかりはまだ自分が人間なのだと実感できて妙にホッとしていた。
 
基本的には何もすることがなく退屈で、時間の感覚はとうの昔になくなっている。何もしていないと不安ばかりが大きくなって、僕はたまにベッドの上でうずくまりながら、耐え切れずに泣くこともあった。その時はいつも「万代さんは何故助けに来ないのだろう」と情けない泣き言をつぶやいていた。
 
こんな状況だと最初は苦痛に感じていた巳堂とのセックスも、今では気を紛らわす手段のひとつのように思い始めていた。快楽に身を任せていると嫌なことも考えないで済む。
 
巳堂とのセックスは依存性のある薬物のようだ。苦しみの元だと分かっているのに、苦しみを忘れるために手を出さざるを得ず、ズブズブと深みにハマって戻れなくなっていく。
 
巳堂のことは今でも嫌いだ。でも、このまま行くとその認識すら塗り替えられそうで少し怖かった。




「京太の中すごく気持ちいいよ。最初はあんなにきつかったのに、もうこんなに俺のチンポにフィットする形になっちゃって、京太も嬉しいよね?」
 
巳堂は膝の上に乗った僕の腰をつかんで、下から容赦なく突き上げながら甘えた声で尋ねてきた。
 
僕はうんうんと頷きながら、腹や胸を弄る巳堂の手に身をよじった。肌を這い回る指先は腹から胸へ流れ着き、僕の乳首をそっとつつく。乳首につけられたシルバーのピアスに触れると、巳堂はそれごと僕の乳首をつまんでクニクニと揉んできた。

「あああっ!? やっ、それっ、やめてくださいっ! 乳首がっ、ひぎぃっ! 乳首取れちゃう!」
「全然力入れてないのに京太は大袈裟だなあ。フフ、このピアス気に入ってくれたかい?」
「あふっ、は、はひ、ピアス嬉しいです」
 
ピアスを取りつけるために散々弄り回された乳首の感度は異常なほどになっている。大きさだって、何もしていなくても常時ぷっくりと腫れたようになっていて、以前と比べても明らかに大きくなっている。
 
こんな体にされて嬉しいわけがない。巳堂はただ僕に自分の所有物であるという証をつけたかっただけなんだ。

「そろそろ出そうだな。京太、しっかりアナル締めてご主人様を気持ち良くさせるんだよ」
「んおぉ、わ、分かりまっ、あああっ! 急に、は、激しくっ、おおおっ!」
 
ガンガンと下から突き上げられ僕は咆哮を上げた。支配欲の強い巳堂は僕の中で射精することに異常なほど執着し、僕も中に出される感触だけでイってしまうほどになっていた。
 
熱いものが腹の中へドクドクと広がっていく。条件反射のように僕は絶頂し、巳堂の膝の上で身悶え、あられもない声を上げた。

「ああっ、イクの、と、止まらないっ……! んああっ、やっ、またぁっ! おああっ!」
「本当に京太は堪え性がないな。ご主人様より多くイったら駄目じゃないか」
「うぐっ、ごめっ、なさいぃ……! おふっ、んぅっ!」
 
どれだけ頑張ってもイクのは我慢できない。巳堂もそのことを分かっていてわざと激しく攻め立ててくる。
 
そのまま何度もイカされ、ぐったりと体が動かなくなると僕はようやく休息を与えられた。
 
といってもいまだ巳堂の膝の上だし、アナルにはチンポを挿入されたままだ。本当に一時的な休憩に過ぎない。

「そういえば、京太がここに来て何日たったと思う?」
「えっと……一週間くらいですか?」
「残念、ハズレだ。実際はもう三週間はたってるんだよ」
「さ、さん……!? 嘘だ、そんなはずは……」
「本当だよ、ほらこれ見てごらん」
 
巳堂はスマホを取り出し僕に見せた。表示は確かに僕が誘拐された日から三週間後の日付になっている。
 
信じられなかった、こんなに長い間僕はここで監禁されていたなんて。万代さんはまだ僕を見つけられないのだろうか。それとも……。

「普通に考えると、万代は君のこと見捨てたんじゃないのかな?」
 
僕の心を見透かすように巳堂は囁いた。

「ち、違います! あの人は僕を見捨てたりなんかしません!」
「でも俺は万代が君を探してるなんて話、今のところ聞いたことないんだけどなあ」
 
薄々感じていたことを言葉にされると言い返す気になれず、どうにか声を絞り出すのが精一杯だった。

「嘘だ、そんなの……!」
「ご主人様のこと嘘つき呼ばわりするなんて良くないな。そら、お仕置き再開だ」
 
巳堂が再び僕を突き上げ、セックスを再開する。僕は身をよじり必死に抵抗するが、すぐにそれもやめてしまい、完全に巳堂へ体を預けてしまった。
 
あれこれしゃべっていた口も、次第に喘ぎ声しか出さなくなっていく。
 
もう何も考えたくない。考えれば考えるだけ疲れるし、苦しむだけだ。手っ取り早く楽になるならこのまま巳堂とのセックスに没頭するのが一番だった。
 
万代さんの助けをあきらめたわけではないが、ずっとただそれだけにすがっていられるほど僕の心は強いわけではない。
 
ちゃんと万代さんのことは信じているから、今だけはそれすら忘れて楽になってしまおう。
 
もういっそ、自分の立場や万代さんのことを何もかも忘れてしまえたらいいのに。いけないとは思いつつも、ほんの一瞬そんな思いが僕の頭をよぎった。

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