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短編
5
「どうしてまだ全部挿入できてないのかな?」
 
こちらを見下ろす巳堂は、酷く冷たい声音で僕に問いかける。
 
結局、僕はディルドを最後までアナルに入れることができず、そのまま朝を迎えてしまった。
 
鋭い視線を頭上から感じるが、僕は恐ろしさのあまりそれを直視することもできない。苦し紛れに必死になってヌルヌルのディルドの亀頭をアナルへ押し当てていた。

「は、入ります! すぐ入りますから、待っててください!」
 
そうは言っても亀頭まで入れてしまうと、それ以上は踏ん切りがつかずまごついて、やっと入り始めても体の内側から圧迫される苦しさにすぐ手が止まってしまった。
 
このままじゃまずいのは嫌と言うほど分かってるけど、どうしても手が動かない。

「違うんです、ちゃ、ちゃんと入れますから、もう少しだけ――」
「もういい、無駄な時間を取らせないでくれ」
 
僕の手からディルドが滑り落ちる。これから起こることが恐ろしくて、目の前が真っ白に霞んでいく。

「時間はたっぷりあったのに、どうしてできなかったのかな?」
「す、すみません。でもこんなの、いきなり入れるなんて無理です」
「へぇ、じゃあこれが万代の命令でも同じ態度だった?」
 
沈黙する僕を巳堂は乱暴にベッドへ突き飛ばす。

「気に食わないんだよ。万代は特別扱いでご主人様の俺のことは軽蔑してるんだろ!」
「違います! そ、そんなことありません」
「そんな震えた声で訴えて大した説得力だ。京太には躾が必要みたいだな」
 
巳堂はバイブを取り出すと僕の脚を開かせ、アナルにそれを押し当ててきた。グッと力が入り、乱暴に挿入される。プラスチックの冷たく硬い感触が容赦なく僕の中を犯し、意味もないのに「ごめんなさい」とひたすらわめいていた。

「いっ、いだいっ……! ごめんなさい、うぅ、苦しっ、ごめんなさい!」
「ほーら、ちゃんと入るじゃないか。京太は根性が足りないんだよ」
「あっ、ぐぅ……! ちゃ、ちゃんと、言うこと聞きます! 本当に、ひっ、いぎぃっ! に、二度と逆らったりしませんから、ぼ、僕に、チャンスを……!」
「さすがにまだ中はきついな。動かしづらいし徐々に広げていかないと」
「お、お願いします、話を、おぉっ! 話、聞いてください!」
「ハハッ、京太のアナル必死にバイブ咥え込んでパクパクしてるな」
 
巳堂は僕の必死の叫びをすべて無視してバイブを深々と挿入した。腹の中に収まってしまったバイブはスイッチが入れられ、低い唸り声を上げながら振動し始める。
 
内部からの振動に苦痛はますます増していく。上手く息ができず僕は「ハッハッ」と犬のように短く浅い呼吸を繰り返し、巳堂の異常性欲を満たしていた。

「もう勃起しかけてるのかい? 苦しいって言ってたのも嘘なんだな。京太は嘘ばっかりついて本当に悪い子だ」
 
違うと言う代わりに僕は必死で頭を振った。この勃起は無理矢理与えられる刺激で僕の意思とは無関係にしているものだ。本当に苦しいし、この仕打ちには苦痛しか感じていない。
 
でも巳堂はニヤニヤ笑って僕をなじり、際どいパンツみたいなものを僕に穿かせてきた。股間部分はぽっかり空いていて、挿入しているバイブが固定できるようその部分だけ布がある。
 
これでバイブを深々と挿入したままの状態にすると、巳堂は僕の体を起こし、少し離れたところに置いてある大型犬用の鉄製の檻まで僕を四つん這いで移動させた。
 
ギィと軋んだ音を立てながら扉を開け、巳堂は檻の中へ入るよう促してくる。中は大人が中腰で入れる程度には広かったが、実際入ってみるとかなりの閉塞感があり息苦しかった。下はペットシーツが敷かれていて、不快感や不安で押し潰されそうになる。
 
扉が閉められ、鍵をかけられる。檻の隙間から両手を差し出すよう言われその通りにすると、手首に手錠がかけられた。これでは手錠の鎖が檻の棒に引っかかって手を中へ引っ込めることができない。ただでさえ檻の中だというのに、ますます自由を奪われた僕は何もできず、ただバイブの振動に身悶えしていた。

「俺が帰ってくるまでその中で反省してるんだよ。京太は賢いからこの程度でも分かってくれるよね?」
「ひぅっ、わ、分かりました……しっかり、んっ、反省します」
「いい子だね。喉が渇いたらそこの給水器を使うんだよ。その状態でも頑張れば届くはずだ」
 
巳堂はそう言い残し、僕を置いて部屋を出て行ってしまった。これで同じ背中を見るのは二度目だったが、絶望感は桁違いだ。
 
一体巳堂はいつ帰ってくる? 昨日から一睡もできていないし、疲労困憊の体を休めるにはこの状況はあまりに過酷すぎる。
 
しかし、喉の渇きにまで悩まされず済んだのは不幸中の幸いだ。檻には小動物用の給水器を大きくしたようなものが取りつけられていて、僕はその飲み口に必死でしゃぶりつき、カラカラだった喉を潤す。
 
苦痛の一つが取り除かれると、今度は他の苦痛が幅を利かせ始めた。アナルに挿入されたバイブの振動。内部を揺さぶる苦しみの根源は、徐々に僕の感覚を上書きしてくる。
 
ただ苦しいばかりだったその刺激が、次第に気持ち良く感じるようになってしまった。機械的に繰り返される代わり映えのしない振動が僕をヨガらせ、どうしようもない劣情を催させた。

「ハァ、ああぁ……んっ、こんな、嫌なのに……!」
 
早く抜いて楽になりたいのに両手は封じられ文字通り手も足も出ない。バイブに犯されイクこともできず身悶えるだけの僕は自己嫌悪に陥り、屈辱に唇を噛み締めた。

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あきゅろす。
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