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短編
3
そのうち大男は絶頂が近くなってきたのか鼻息を荒くして、茂台の首に手をかけ、両手で握り締めながら腰を激しく打ちつけてきた。

「ぎっ、がああっ……! や、やめっ、死んじゃう……」
「あぁ、こうするとすげえ締まるぞ。お前本物のドMだな」
「あっ、んぅっ! イっ、イク……あっ、あぁっ……!」
 
腹の中がドクドクと脈打つ。中に温かいものが注がれ、息もろくにできず意識は朦朧としているというのに、茂台はかすれた声で気持ちよさそうに喘いだ。体はピクピクと跳ね、腹まで精液が飛び散っている。
 
大男は茂台の中に出して満足したのか、首を絞めていた手を離し、後孔から陰茎を引き抜いた。

「ほら、口で綺麗にしろ」
 
息を整えている茂台を気に掛けることもなく、体にまたがってきた大男は、必死に酸素を取り込んでいる口元へ陰茎を突きつけてくる。生臭い精液の匂いが鼻をつき、茂台は戸惑いながらも口を開けた。
 
少し柔らかくなった肉の塊が小さく開いた口を塞いだ。前髪をつかまれ、茂台は一生懸命それを舌で舐め、こびりついた大男の精液を拭い取っていった。

「はぅ、むぐっ、んっ、んぅ……」
「ずいぶんうまそうに頬張るじゃねえか。俺のチンポがそんなに気に入ったか?」
「んっ、すきです……むぅ、ぐっ! う゛ぅ゛っ!」
「お前がエロい顔するからまた勃ってきたじゃねえか。肉便器の才能だけはあるようだな」
 
茂台の苦悶の表情に劣情を催した大男は、勃起した陰茎を喉へと突き立て快感に耽った。茂台が息を詰まらせ苦しんでいることなどお構いなしで、むしろその表情を肴に楽しんでいる。
 
大男は満足すると茂台の口から陰茎を抜いて、再び後孔へ挿入した。二度目ともなるとさすがに堪えるのか茂台は小さくうなり、弱々しい反応しか返さない。

「サボってんじゃねえよ肉便器。もっとケツ穴締めろ」
「……うぅ、ごめんなさい。今やりますから、んっ、くぅっ」
 
頬を平手で殴られながら、茂台は体に残ったわずかな力を振り絞り、挿入された陰茎を締めつけようとする。それでも締めつけが足りないと、大男は茂台の首を絞めてきた。

「やっぱりこっちの方が締まるな。お前も気持ちいいだろ?」
「……あぁ、はい……きもち、いい」
 
息も絶え絶えの茂台は十分に酸素を取り込めないせいかぼんやりした返事をする。まどろんだように朦朧とした意識の中には恐怖すらなく、心地よさで満たされていた。
 
死すら垣間見える状況だというのに、すべての苦しみから解放されたような気がして、あれほど感じていた恐怖も今はどこにもなかった。恐ろしい大男もおぞましく醜悪な父親も目の前にはいない。見えるのはただ白くまばゆい光だけ。
 
あの中へ溶けて行きたいと、茂台は光へ手を伸ばそうとしながら、やがて暗い闇へと落ちて行った。




誰かが体を揺すっている。「起きてください」と声がして、茂台の意識は深い暗闇の底から呼び起こされた。

「ああ、やっと起きたんですね。このままずっと寝てるのかと心配になりましたよ」
 
笑みを浮かべ顔を覗き込んでくる緋礼に、茂台は一瞬怪訝な顔をするが、すぐに笑顔の下の薄汚い本性を思い出して嫌悪感を抱いた。
 
目の前のニヤついた顔を引っぱたきたい衝動に駆られながらも、茂台はそれを抑えて自分の置かれている状況を把握しようとする。
 
今まで通り服は何も着せられていないが、手足の拘束はなく、部屋には緋礼以外の人間はいない。上手くやれば逃げられるかもしれない。茂台の脳裏にそんな考えがよぎったものの、ふと自分の体に残された痕跡に気がつくと金縛りにあったように動けなくなった。
 
尻から垂れてくる白濁した液体。大量に腹の中に入っているのかとめどなくあふれてきて、泡だったそれが尻や股間を白く汚していく。
 
すっぽり抜け落ちていた時間が戻って来た。あの大男に殺されてしまいそうなほど犯されていた瞬間が、どうしようもないほど鮮明に蘇ってくる。茂台はすぐその場にうずくまった。恐怖のせいで体が震え、息をするのも苦しい。
 
犯されていた時の感触をありありと思い出すようになると、茂台は思わずえづき、ついにはその場で嘔吐してしまった。

「ベッドを汚さないでください。本当に躾がなっていませんね」
 
ろくに食事をとっていなかったせいで、口からあふれてくるものの大半は胃液だった。口の中が酸っぱくなり、半開きのままの唇からは涎が糸を引いて垂れている。
 
胃の痙攣する感覚に再び吐き気を催しながら、茂台はグッとそれを押しとどめて緋礼に縋った。

「た、頼む。もう許してくれ。あんたの命令ならなんだって聞くから、だからあの男とだけはもう会わせないでくれ」
「おやおや、いつからそんなに心のこもったお願いができるようになったんですか? 見違えるようですね」
「頼む……お願いします、もう嫌なんです。やっと父さんから逃げられたのに……うっ、うぅ、ひっぐ、もう許してください……」
 
大粒の涙を流しながら頼み込む茂台に、緋礼はわざとらしく考え込む素振りをしてみせた。すると茂台はますます頭を下げ、ほとんど這いつくばりながら頼み込んでくる。
 
何度も懇願してくる茂台を面白おかしく眺めながら、緋礼はこれからどうしたものかと、顎に手を当て考えを巡らせるのだった。

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