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短編
2
「どうやったら茂台君を壊せるか色々考えてみたんです。それで色々と調べてみたんですが、君はなかなか面白い過去を持っていますね」
 
目の前の大男と緋礼の言葉が引き金となり、茂台の中に眠っていた忌まわしい記憶が蘇っていく。
 
薄汚れたアパートの一室。日焼けした畳の上に這いつくばり、まだ幼い茂台は体中の痛みに泣きじゃくっていた。
 
そこへ、真っ黒く塗りつぶされた影のような大男がのしかかってくる。細い手足を押えつけ、無理矢理足を開かせて体を蹂躙してくるその大男は、酷く怒ったように何かをわめいていた。何を言っているのか、その内容は子供の茂台には分からなかったが、口汚く理不尽に罵られていることだけは理解できた。

「君は幼い頃父親に虐待され、何度もレイプされていたそうじゃないですか。しかもその父親、二メートル越えの相当な大男だったんですよね? 助け出されるまで生きていたのはラッキーでしたね!」
「や、やめてくれ……」
「その時のトラウマのせいでいまだに大柄な男へ苦手意識を抱いている、と。そんな茂台君のために、今日は君のパパに似た大男を特別に用意したんです! さあ、今夜はいっぱい楽しんで、昔のことを思い出してくださいね!」
「嫌だ! 頼む助けてくれ! 何でも言うことを聞くから、だからもうやめてくれ!」
「そんなに喜んでくれて嬉しいですね。それでは、私はこれから用事がありますので、後は二人きりで楽しんでください」
 
緋礼が部屋を出て行くのを見ながら、茂台は叫びながら拘束具に繋がれたままの手足を必死に動かした。金具が耳障りな音を立て、ベッドが軋み汚れたシーツが身をよじる。
 
大男は構わず茂台に馬乗りになると、わめく茂台の顔を殴りつけた。

「うるせえぞ! また騒ぎやがったら殺すからな!」
「あっ……ぐっ、ご、ごめん、なさい」
 
顔面蒼白な茂台は震えた声を絞り出した。昔自分を嬲ってきた父親と目の前の大男は別人だと頭では理解できているのに、体に刻まれ続けた恐怖が正常な判断を邪魔する。
 
茂台の記憶に父親の顔はなかった。いつどの場面を思い出しても、父親は墨で塗り潰されたように真っ黒で顔すら見えない姿で再生される。それなのに、自分を見下ろす大男の醜悪な笑みと、あの時自分を犯してきた父親の顔が何故か重なって見えた。
 
もはや大男に対する恐怖心を拭い去ることはできなくなった。茂台は今、何年もかけて培ってきた冷静さと利口さの仮面を剥ぎ取られ、泣いて命令を聞くことしかできない無力なあの頃の自分に戻っていた。

「おい、このシーツ濡れてんのはどうしてだ? まさか漏らしたのか?」
「そ、そうです。我慢できなくて、おしっこを漏らしました」
「チッ、小便くせえガキが! まずごめんなさいだろうが!」
 
程よく筋肉のついた腹に大男の拳がめり込む。茂台は息を詰まらせ苦痛に顔を歪めるが、必死に口を開けてかすれた声で何度も「ごめんなさい」と繰り返した。
 
大男が満足するまで涙声で謝り続け、やがてそれが済むと茂台は拘束を解かれた。自由の身になったものの、大男が覆いかぶさっていてはどのみち動くことも叶わない。
 
茂台は大男の手で脚を開かされ、ついさっきまで極太バイブが刺さっていた秘部を露わにさせられる。

「ずいぶんガバガバじゃねえか。こりゃちゃんと締めねえと気持ちよくなさそうだな」
 
大男は文句を垂れながら、無造作に茂台の穴へ指を入れ具合を確かめるようにかき回した。太い指が奥まで突き上げ、前立腺をくすぐってくる。
 
茂台は唇を噛み締め耐えていたが、ついに我慢できず小さく喘ぐとつま先をピクピク動かした。

「てめえ勝手に感じてんじゃねえよ。もし俺が犯してる時手ぇ抜いたらこの薄ぎたねえチンポ握りつぶすからな、分かったか?」
「は、はい……! 頑張るから痛くしないでください」
 
大男は茂台の後孔から指を引き抜き、ズボンと下着をおろしてそそり立つ陰茎をあらわにした。すでに勃起しているそれは巨大で赤黒く、まるで凶器のように茂台へ突きつけられる。

開ききった後孔に亀頭が押し当てられた。

「うっ、ああ! は、入って、うぅ……!」
 
すでにバイブでほぐされていたこともあり、大男の巨根もどんどん茂台の中に入っていった。すべて挿入してしまうと、大男も慣れてきたのか大胆に腰を打ちつけ、茂台の穴で快楽に耽り始めた。
 
腹の中をえぐられるような衝撃だった。大男の方は気持ちよさそうに息を吐いているが、茂台は苦しみと恐怖しかなく、シーツをくしゃくしゃに握り締めてひたすら耐えている。

「おい、もっと気持ちよさそうな顔しろ。そんなつまんねえ顔見せられたら萎えちまうじゃねえかよ」
「ご、ごめんなさい。すぐ気持ちよくなります」
 
大男がこぶしを振り上げるような動作をしたので、茂台は慌てて強張っていた顔の筋肉を緩め、わざとらしく喘ぎ声を上げた。

「あっ、あっ、奥がしびれる……! んっ、ハァ、おかしくなりそう」
 
茂台は喘ぎながら目をつむり、苦痛の中に快感を見つけようとした。子供の頃はできていたのだが、今は勘が戻らずなかなか上手くいかない。それでも暗示のように「気持ちいい」と心の中で唱え続けていると、段々コツがつかめてきた。

「んあっ、ああっ、んはぁ! 中っ、熱い……! あぁっ、気持ちいいっ」
「犯されて気持ちいいのか? 変態が! もっとイけ!」
「やああっ! ダメっ、ほんとにイっちゃう! お、おかしくなるからっ、うぅっ、許してぇ!」
「おかしくなるまでイクんだよ!」
 
大男の激しい腰づかいに茂台は息を荒くしながら甘い嬌声を上げた。幾度となく腹を突き上げる凶悪な衝撃に意識まで持っていかれそうだ。
 
だが途中で気絶でもしたらこの男を怒らせてしまう。もしそうなったらどんな恐ろしい目に遭わされるか分からない。
 
茂台は頭の芯まで熱に浮かされながらも、必死に意識だけは繋ぎ止め、大男を気持ちよくさせることに努めた。

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