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短編
5
息を荒げる幹は、体勢を崩して背後を振り向いた。その途端二匹いるうちの茶色い方の犬が幹へと飛びかかり、獣臭い息を吐きながら、グイグイと腰を幹へ押しつけてきた。

「なんだっ!? やめろ、離れろっ」
 
太ももに押し当てられる硬いものの感触に、幹は冷や汗を流しながらどうにか逃げようともがく。だが犬は決して幹を離さず、その汗のにじんだ顔を舐めて、涎まみれにしていた。

「もー、千太はそうやってすぐ先走るからなあ。ほら、それじゃいくらやっても、幹さんに挿入できないよ」
 
荒ぶる犬をなだめ、小野井は幹へ再び「四つん這いになるように」と指示した。

「や、やめてくれ、小野井君。犬のモノなんか入るわけないだろう」
「心配しなくても大丈夫ですよ。すぐに慣れて気持ちよくなりますから」
 
爽やかに笑う小野井を見て、もはや話しの通じる相手ではないのだろうと幹は判断した。犬に犯されるのを当り前だと思い込み、あまつさえそれを喜びとしている小野井や早峰には、幹の恐れなど微塵も伝わらないのだろう。
 
幹は渋々ながらもまた四つん這いになり、震えを押さえ込むように、マットをギュッと握った。小野井の手から離れた犬は、一目散に幹へと駆け寄り、腰を突き出して勃起した陰茎で幹の後孔を貫く。

「あぁっ!? ぐっ、あっあぁ、もっとゆっくり……! うぅっ、ぐぅっ……!」
 
一気に押し込まれた質量が幹を苦しめる。しかし犬は苦しそうな幹のことなど気にかける様子もなく、本能のままに激しく腰を振り始めた。

「ぐぁっ……きつい、無理だ。お、小野井君、早峰……頼む、やめてくれ、あぁっ!」
 
早くも根を上げる幹は、こちらを見つめる小野井や早峰に助けを求めた。

「そんなこと言ったって刑事さん、きついって言ってるわりにチンコは勃ったままじゃん。ホントは気持ちいんだろ?」
「そうですよ、幹さん。あなたならいい雌犬になれるはずですから、もう少し頑張ってください」
「そ、そんな……!」
 
絶望に顔を歪ませる幹は、あきらめたように顔を伏せて、ひたすら犬のピストン運動に耐えた。しかし犬の猛烈な腰使いの前では、かろうじて形を保っていた幹の自尊心も、脆くも崩れ去ってしまう。
 
時がたつたび、あれほど嫌悪していた犬との交尾に、体が順応していく。やがて苦しみが引いてゆき、快感だけが幹の中に残った。

「あぁっ、ダメだ、やめろ……うっ、ぐぅ、そんなところばかり……ひっ、ああぁ!」
 
情けない声が、もはや抑えることもできずに幹の口からあふれてくる。いつしか幹は自分を犯している犬と同じように息を荒くし、虚ろな目で一点を見つめ、犬との交尾に没頭しかけていた。
 
その様子を見ていた小野井と早峰は、満足そうに笑い合い、幹をもっと淫らな雌犬にしようと言葉でおとしめる。

「雌犬の顔になってきましたね。幹さん、今はしたない雌犬になってるんですよ」
「犬のチンコでズポズポやられるの気持ちいいだろ? 孕むくらい種つけしてもらいなよ」
「はぁっ、あぁ……! 俺は、雌犬なんかじゃ……あがっ、ぐあああっ!」
 
一瞬硬直した幹の体が、射精するとともに弛緩していく。とめどなくあふれてくる精液がマットに滴り、ムッとするような獣のにおいがさらに強まった。
 
力の抜けた幹はこれ以上体勢を保てなくなり、ガクリとひじを曲げると、上体をマットへ倒す。それでも犬はお構いなしに幹のことを犯し続け、気持ちよさそうなうなり声を上げると、ついに幹の中へ射精した。

「ぐうっ、うあぁ……やめっ、いやだ……苦しい……!」
 
腹の中を満たされていく感覚に、幹は苦しそうに息をついた。早く終わらないだろうか、そう思ってみても犬の射精は長々と続き、なかなか終わる様子を見せない。

そのあまりの長さに、幹は不安を覚えると同時に、情けない姿を晒していることへの背徳的な快感をも覚えるようにもなっていた。

「刑事さん、中に出されてるの分かる? ようやく雌犬になれたね」
「違う……俺は、雌犬なんかじゃない」
「何言ってるんですか? どう見たって今の幹さんは雌犬ですよ。犯されてそんな気持ちよさそうな顔してるんですから」
「き、気持ちよさそうな顔なんか……」
 
浴びせられる言葉の数々が、幹の理性を壊していく。混沌とする頭は今や何が正しいのか判断がつかなくなり、小野井や早峰の卑猥な言葉を真実として受け取っていた。

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あきゅろす。
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