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短編

夏も近くなり湿気を纏った生暖かい風が、倉庫のある沿岸一帯に吹きすさぶ。

今では使用されなくなったその倉庫は、ただ錆びるのを待つばかりだ。そこへ、まるで場違いな声が聞こえてきた。
 
男達の下卑た笑い声が。
 
見れば廃倉庫の中で5、6人の男達が何かを囲んで、口々に罵ってはゲラゲラと笑っている。
 
嘲笑の対象となっているのは一人の男だった。

男は素っ裸で、尻をバイブで犯されながら自慰を強要され、顔を真っ赤にしてこの仕打ちに耐えていた。


この男は名を坂梨善郎(さかなし よしろう)という。年は27歳で、犯罪組織の構成員としてそれなりの地位についている。

若いながらも決断力があり、カリスマ性に富んでいるということで、将来の幹部候補だと周囲からは期待されていた。
 
しかし野心家でもある坂梨は、幹部などでは満足しなかった。

自分がトップの組を持つ、そのためにも坂梨は敵対していた組織と裏で密かに手を組み、着々と自分の組を潰す算段を立てていた。
 
ところがどこから情報が漏れたのか、坂梨の裏切りは組織に知られることとなった。裏切り者の坂梨に科せられた罰は、あまりにも屈辱的なものだった。


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