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短編
6
貴堂が悔しそうに唇を噛み締めても、快楽を求め浅ましく勃ちあがる陰茎はどうにもなりそうになかった。

後孔にいきり立った陰茎をねじ込まれ、痛みを感じるほど犯される。貴堂は嫌だとわめいて頭を振ることしかできず、それすらも頭が惚けてくると困難になった。

「あっ、うぐっ……うぅ……熱い、おかしくなる……いやだ、頼むから、やめてくれ……ひっ、うあっ!」
「ずいぶん可愛い声が出せるじゃないか。この姿を舘越の奴にも見せてやりたかったな。お前もそう思うだろ? 俺に女にされるとこ、大好きな舘越に見てもらいたいよな?」
「……っ! やっ、いやだ! それだけは、頼むから、なんでもするから!」
 
貴堂は淀んだ目を見開いて、まるで駄々っ子のように頭を振った。

最早人一倍あった自尊心も忘れ去ってしまったかのように本居にすがりつき、少しでも要望を聞いてもらおうと媚を売って自分から腰を揺すっている。

「よしよし、それでいいんだ。素直になったな、貴堂」
 
本居はそんな貴堂を褒めると満足そうにうなずき、時がたつのも忘れて貴堂のことを犯していた。



 
この日以来貴堂は牙を抜かれた獣のように本居に服従し、何度も繰り返し犯され続けた。

舘越は相変わらず行方不明、足も二度と使い物にならないことであきらめがついたらしく、貴堂は本居の言うことならばどんな屈辱的なものでも受け入れるようになった。
 
しかしそれでも腹の中では本居に対する反感が燻り続け、加えて消息の分からない舘越へのすがる気持ちは捨てられないでいた。
 
その気持ちの表れだろうか、貴堂はたまに舘越のことを思って涙を流すことがあった。それも本居に犯されている時に限ってだ。

「チッ、また泣いてやがるのか。何度言えば分かるんだ? 俺の前では泣くなと言っているだろ」
 
バックで貴堂を犯す本居は、グスッとすすり泣く貴堂の声を聞くと不快そうに顔を歪め、髪を鷲づかみにして早く泣き止むよう言い聞かせた。

「舘越のことがそんなに大事か? それとも俺への当てつけか?」
 
怒気を含んだ言葉に貴堂は内心怯えつつも、勝手にあふれてくる涙を止めることはできなかった。

そのため情けない泣き顔を晒しながら、「違う」と弱々しく否定することしかできない。

「違う、これは……勝手に出て、止まらなくて……ああっ!」
「違うだって? だったらさっさとガキみたいに泣くのをやめたらどうだ。胸糞悪くて仕方ないんだよ」
 
だが詰め寄っても同じことしか言わない貴堂に、業を煮やした本居はもう何も言わずただひたすら犯し続けた。

乱暴に犯されることにも慣れてきたせいで、幸か不幸かこんな状況でも十分なほどに快楽を得てしまっている。

「あっ、ひっ、うぐ……! 俺は、舘越さんに、あぁっ! つ、ついてきただけなのに、なんでこんな……こんな目に遭わなきゃいけないんだよ!」

悲痛な叫びもうるさいとばかりに後孔を激しく突かれ、肉のぶつかり合う音でかき消されてしまう。

貴堂は自分がいかに無力だということかを思い知らされ、半ばあきらめきった表情をすると顔を涙で濡らしていた。

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