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短編

手早く閉店作業を済ませ、僕は駐車場へと急いだ。

ひょっとしたら阿木さんが目を覚ましていたり、悪酔いしたせいで吐いたりしているかもしれないと心配したが、幸いそんなことはなく寝かせた時と同じようにぐっすり熟睡していた。
 
僕はホッと一息つき、運転席に座ると阿木さんの寝息に耳を澄ませ、騒々しいエンジン音に阻まれ聞こえなくなるその声にひと時の別れを告げた。





家に到着すると、僕はまず阿木さんを介抱するふりをして車から降ろし、家へと運んだ。

その間も阿木さんは目を覚ます様子はなく、呂律の回らない口で寝言を言っている。
 
阿木さんは僕より体格がいいので連れていくのには苦労した。

特にアパートの階段を上る時なんて、後ろにのけ反って落ちそうにもなった。だがなんとか部屋まで連れていき、ソファーに寝せることができた。
 
僕はここへ来るまでにずいぶん体力を消耗していて、服の下では汗がにじんでいた。

よく見れば阿木さんも僕と同じように汗をかいていて、時々不快そうに顔をしかめている。

僕はすぐさま湯船に水を張りに行くと、ドギマギしながら眠っている阿木さんに顔を近づけた。

「阿木さん、お風呂入りましょうか」
 
僕が耳元でそう言っても、なんの反応もなかったが、とりあえず服を脱がせていく。

上着とシャツをこれでもかというほど慎重に脱がせると、厚い胸板が現れた。いや、胸板だけじゃない。腕やお腹だって筋肉がついていてたくましく、痩せっぽっちの僕とは比べ物にならなかった。
 
僕はそんな阿木さんの体に見惚れながら、スラックスと下着にも手をかける。手は緊張のせいで小刻みに震えていて、脱がせるのには難儀した。
 
ようやく全部脱がせると、僕も服を脱ぎ阿木さんを抱えて浴室へと向かった。

全裸で、しかもこんなに密着することなんてなかったものだから、僕の心臓は張り裂けそうなほど鼓動が早くなっていた。

「なんだぁ、どこ行くんだ?」
 
急に阿木さんがしゃべったので驚いたが、どうも寝ぼけながら言っているらしい。僕は安堵してその質問に答えた。

「お風呂に入るんですよ。汗いっぱいかいてますからね」
「風呂ぉ? 今日はいいよ」
 
うんうん唸りながら阿木さんは横になりたいとごねだす。しかし僕はそれを強引に引っ張って浴室まで来ると、湯のたまった浴槽に阿木さんを入れた。

そして僕も同じように浴槽に入ると、二人分の体積でお湯が一気に浴槽の外へ流れ出た。
 
そこまで広いとは言えない、いやむしろ狭いくらいの湯船には大の男二人がひしめき合い、自然と体が密着する。

こんな状況でも何も言い出さないのだから、阿木さんは相当酔っているのだろう。
 
僕は阿木さんの膝の上に乗り、欲望のままに唇を重ねた。酒臭い息を吐いていた口内に、僕の舌が侵入していく。

阿木さんは息苦しそうに「んっ、んっ」と唸っていたが、僕は悪いと思いながらもやめることができなかった。
 
一度欲望に火がつくと、裸を見てドキドキしていたのが嘘のように大胆になる。僕は勃起したチンポを阿木さんのモノに擦りつけ、二本まとめてシゴいた。

「んっ、はあぁ、阿木さん、気持ちいいですか?」
 
返事なんて返ってこないのは分かっていたが、それでも気持ちよくなってつい阿木さんに問いかけてしまった。

阿木さんは相変わらず酩酊状態で、何かぶつぶつ言いながら荒く息を吐いている。

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