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短編

男は彼に向き直ると意地の悪そうな笑みを浮かべ、クスクスと小馬鹿にするように笑った。

「ひとつ訂正があるぜ。あんたらの知ってる情報ってのは、表面的なものに過ぎない。だからそう何もかも分かったような口を利くのはやめた方がいいな」
 
彼の頭を指でコンコンつつきながら、男は右手を挙げて監視カメラの向こうに合図をした。

男の言葉とその合図にすっかり気おくれしてしまった彼は、一体今から何が起こるのかと不安に満ちた瞳で男に視線を注いだ。

「表面的なものって……まさかプロテクトを破る方法でも知ってるのか?」
「心配しなくても、今にわかるさ」
 
男はそれ以上何も言わず、不気味なほどの静けさがこの部屋一帯を支配する。一秒一秒が永遠にも等しく感じられ、彼は息をするのさえ苦しくなった。
 
ひょっとしたらこのまま何も起こらないのではないか、そんな願望に似た考えが彼の中に浮き上がるが、その期待は大きく裏切られることになる。
 
最初は小さな違和感だった。

頭がのぼせた時のように熱くなり、体全体が熱を持ち始めたのだ。だがそれは次第に温度を増していき、皮膚は服の擦れる刺激ですら敏感に反応してしまうようになった。
 
ほんの数十秒もすれば、彼の体は自分ではどうにもできないほど疼き、欲情した熱にあふれていた。

「何、しやがった……! お前、俺の体に、な、何を!」
「あんたに埋め込んだチップは従来のものと違って、頭にかけられたプロテクトを無効にすることもできるのさ。ただし、無効にする過程で副作用として性的な快感を増幅させる物質の分泌を促しちまうんだ」
「なんだ、それ……! じゃあ、俺は今……!」
「その通り。あんたは今、俺や監視カメラの前で、恥ずかしげもなく発情してるんだよ」
 
男の言葉を裏づけるように、彼は頭をチップに犯され全身を激しく痙攣させていた。

神経が焼き切れそうなほど頭は熱くなり、衣服の中では肉棒や乳首が服に擦れるわずかな刺激で、ガチガチに硬くなる。
 
男はそんな彼を、新しい玩具を目の前にした子供のように興味津々に見つめ、胸ポケットからペンを一本取りだした。

鋭いペン先が丸みを帯びたプラスチックの蓋に覆われたそれで、そっと服の上から腹をなぞりあげる。すると彼はそれだけで身悶え、切なげな声を上げた。

「こんなに気持ちいいのは初めてか? あと一時間はこのままだから頑張れよ」
「いっ、一、時間っ!? やっ、あぁっ、ムリ、俺死んじゃっ、あああ!」
 
最初の威勢の良さなど微塵も感じさせないほどに、彼は情けない姿を晒し顔は恐怖と過剰な快感を与えられるために引きつっていた。
 
男はそれにも構わずペンで彼の乳首をつつき、どれほど硬く敏感になっているのかを確かめる。

服が擦れただけでも勃起してしまうほどに敏感になっているそこを、そのように刺激されれば到底耐えられるはずもない。彼はついに涙を流しながら、男に助けてくれと懇願した。

「やめたとして、あんた情報を素直にしゃべってくれるの?」
「……っ! そ、それは!」
「どうせプライドが許さないとかでしゃべらないだろ。まあ、一度始まったら途中でやめるのは無理だから、あきらめろ」
 
この苦痛から逃れる術はないという事実が、彼を絶望の淵へと叩き落とす。

彼は気づけば目から涙をあふれさせ、嗚咽とも喘ぎとも取れない声を漏らしていた。

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