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短編

友人二人のいなくなった部屋は、先程の喧騒が嘘のように静まり返り、残された能木は黙々と酒盛りの後片づけをしていた。

もとより能木は、幽霊をはじめとした超常現象の類はまったく信じていないので、怪談話じみた噂を一笑すると、手早く片づけを終わらせ早々に就寝することにした。





暗い部屋の中、床に就いた能木は、落ち着かないように何度も寝返りを打っては、かたく目を閉じていた。

しかし目を瞑ってはいるものの、いまだ眠れずイライラをつのらせる。

おそらくこの部屋で寝るのは今日が初めてだったので、慣れないためになかなか寝つけないのだろう。しかし眠れない原因はまだ他にもあった。

何かの気配、それに視線を感じるのだ。

どこにいるのかははっきりしない、いや、部屋のどこにでもいると言った方がこの場合は正しい。

視線や気配はこの部屋全体からしてきている。そしてベッドで寝ている能木の様子をうかがっているようだった。

いくら霊の存在を信じていない能木でも、さすがにこの異常な状況には気が気でなく、かたく瞑っていた目をほんの少しだけ開けてみることにした。

「……な、なんだよ」

能木は動揺のために叫ぶことも出来ず、ただ一言だけそうつぶやいた。

能木の目に映るのは何人もの黒い人影だった。その影は部屋全体に点々と散らばっている。

顔どころかその姿も陽炎のように揺らめいていてはっきりせず、それでもどういうわけかこちらを見ていることだけは能木にも分かった。

目の前の信じられない光景に、能木はどうすることも出来ず呆然としていると、急に体を触られる感覚が伝わってきた。

「ああっ!? なんだ次は!」

能木は慌てて起き上がり、自分の体を触ってきたものの正体を確かめるため、毛布を剥ぎ取ろうとした。

ところが体を起こした瞬間、何かが体をものすごい力で掴んできて、起き上がろうともがく能木を無理矢理ベッドに寝かしつけた。

身動きの取れない能木は、それでも必死に首を動かし、自分の体を押さえつけているものの正体を見た。

それはベッドから伸びるいくつもの手だった。蝋のように白く弱々しい見た目に反し、いくら能木が暴れだしても一向に離す兆しはない。

またその手は、体に絡みつくと押さえつけるだけではなく、体中を這い回り愛撫するかのようになぞりあげてきた。

最初は恐怖で身をすくませていた能木も、敏感な部分を執拗に責められると我慢できずに声を上げ、身を悶えさせた。

「ハァハァ、何、これって……っうぅ!」

頭の中はこの異常な状況に警鐘を鳴らしながらも、体は与えられる快感を享受してしまう。

あらゆる性感帯を同時に刺激され、能木の意識は次第に淫らなものへと変貌していった。

気づけば肉棒はもっと快楽に溺れたいとばかりにズボンの中で勃起し、その願いを叶えるかのように手はズボンの中へ群がってきた。

先走りでグチョグチョの亀頭や裏筋を擦り、こねくり回す。またある手は能木の陰嚢を掴み、揉み込むように刺激した。

「っああ! やだ、そんなとこ、うあぁっ! んっ、うぅ、やめろ、変になる……!」

能木は得体のしれないもの相手によがり、ビクビクと痙攣しながら頭を振った。

こんなの信じたくない、という能木の思いとは裏腹に、体はすでに限界を迎えていた。

しゃべる間もなく喘ぎだけを漏らすと、体をこわばらせ快楽に目をくらませる。そして体の芯が熱くなり、次の瞬間には爆ぜていた。

「やっ、やああっ! あっ、くぅっ……!」

顔を真っ赤にして体を震わせ、射精してしまった肉棒のあたりに目をやる。先走りや精液で中はベタベタとしており、酷く不快だった。

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あきゅろす。
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