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シリーズ
11
雪間が地下室にいると確信した古座は、迷わず扉を開けて中へと踏み込み、そして目の前の光景に絶句した。
 
地下室の奥に雪間はいたのだが、全裸のまま拘束台のような椅子にM字開脚した状態で座らされ、顔には目隠しとギャグボール、胸にはローター付きのクリップ、後孔には大きなバイブを挿入されていた。よく見ると勃起している陰茎の先端には何か丸いものがついている。
 
古座は一目見た瞬間呆気にとられ、金縛りにあったように動けなくなっていたが、すぐ我に返ると弾かれたように雪間へ駆け寄り、無事を確かめようと声をかけた。

「ゆ、雪間さん大丈夫かよ!? 何これ、チンポになんか刺さってる」
 
間近で見てみると、陰茎の先端についていた丸いものは、尿道に挿入されていた細長いプラグの端の部分だった。
 
古座は状況を飲み込めず混乱しながらも、まずは目隠しとギャグボールを外して雪間とコミュニケーションを取れる状態にした。

「た、珠樹、なんでここに……んっ、あっ!? クソッ、こんな時にまたっ、うぅっ!」
 
涙と涎で濡れた顔を歪ませ、雪間は上ずった声を上げる。体がビクビクと跳ね、喘ぐ声しか出せなくなった。
 
目の前で絶頂する雪間に古座は気まずさを覚えながらも、やがてそれが落ち着いてくると体中に取りつけられた淫具を外しにかかった。

「またイかないうちにこれ全部外すからな」
「お前、そんなことしてる場合じゃない。は、早く、うぅっ! に、逃げろ!」
「わざわざ助けに来たのに雪間さん置いて逃げるわけねえだろ。よし、次バイブ抜くからな」

後孔からバイブを引き抜くと、再び絶頂したのか雪間は体を痙攣させ艶めかしい声を上げた。これで残るは陰茎に刺さった尿道プラグだけだが、初めてプラグを見た古座はどう取り外せばいいのか迷ってしまう。
 
雪間に聞いても、息も絶え絶えに「抜かなくていいから逃げろ」と言うばかりで教えてくれない。仕方ないので意を決してプラグの先端をつまみ、ゆっくりと引っ張ってみた。

「おっ、抜けてる! 雪間さん痛くない? 時間ねえから一気に引き抜いて大丈夫かな?」
「だ、駄目だ! 痛くはないが、でも、その……」
「恥ずかしがってる場合かよ! 痛くないんなら一気に行くからな、せーの!」
 
古座は雪間が叫んでも大丈夫なよう、手で口を塞いでやりながら、半分ほど挿入されたままのプラグを勢いよく引き抜いた。

「んぐっ!? う゛う゛ぅ゛っ!」
 
獣のようなうめき声を上げながら、雪間は拘束されたままにも関わらず、体を激しく悶えさせながらイった。
 
ずっとプラグを挿入され、射精を我慢させられていた影響で、精子がとめどなくあふれ勢いよく飛び散る。ようやく訪れた解放感に雪間は放心状態で、置かれている状況も忘れ快楽に耽った。

「うわ、こんなに出んのかよ。えっ、ちょっ、雪間さん漏らしてるって!」
「ハァ、うぅ、我慢できない……! た、珠樹、見ないでくれ」
 
ようやく射精が終わったかと思えば今度は尿があふれてきて、じょぼじょぼ音を立てながらコンクリートの床を濡らした。
 
数秒で納まったものの、よほど気持ちよかったのか雪間は恥ずかしがる余裕もなく、顔を蕩けさせていた。

「あぁ、んぅ……こ、これはずっと我慢していて、仕方なかったんだ」
「わ、分かってるよ。その、と、とにかく今自由にするからな!」
 
気まずさを振り切るように古座は雪間の拘束を解くと、近くに置かれていた雪間の服を投げて渡した。
 
せっかく会えたというのにこれでは目を合わせるのすら気まずい。どう慰めの言葉をかけたものか迷っているうちに雪間は着替えを済ませてしまい、ふらつきながら立ち上がった。

ずっとあんなことをされていたせいか、近くに来ると雪間の体からムッと汗の臭いがする。情事の時の匂いだ。それを嗅いでいると古座はどうにも悔しさと不甲斐なさで胸がいっぱいになる。

「ごめん、こんなことになってるならもっと早く助けに来ればよかった」
 
衝動的に古座は雪間へ抱き着くが、感傷的な気持ちになる間もなく引き剥がされた。

「今は謝ったりしてる場合じゃないだろ。早くこんなところ出て行くぞ」
 
切り替えの早い雪間は先ほど自分が痴態を晒していたことも忘れてしまったかのようだ。変に恥ずかしがられるよりは接しやすいが、心底心配していたので肩透かしを食らったような気にもなる。
 
古座がのんきなことを考えている間にも、雪間は出口へ向けて歩き出そうとする。だが、その足取りはずっと窮屈な態勢で拘束されていたせいか、フラフラしていておぼつかない。

「大丈夫かよ。肩貸そうか?」
「いい、俺は大丈夫だ。お前は先に行っててくれ」
「しょうがないな。じゃあさ、雪間さん家の出口分かる? 俺は悠木と合流してくるから、雪間さんは先に家から出といて。そんで外に出て右手の方にしばらく行くとコンビニあるから、そこで待ってて」
「ちょっと待て、お前まさか悠木まで連れてきたのか!? しかも一人にしてるのか!」
「だ、大丈夫だって。悠木なら上手いことやってるよ。先生の野郎も俺たちのこと上手く騙せたと思ってんのか知らねえけど、のんきに飯つくってるし」
 
古座は雪間を安心させようとするが、裏目に出たのか雪間の顔はますます険しくなっていく。

「とにかく、お前は今すぐ悠木のところに行け。そしてすぐに逃げるんだ」
「な、なんだよ突然」
「いいから行け! お前たちが来てるのにあからさまに隙を見せたり、簡単に俺が監禁されてるところに来れるなんて何か変だ。絶対におかしい」
 
雪間の剣幕に押される古座だったが、言われてみれば事が上手く運び過ぎているように思えてきた。監禁している人間のいる部屋に鍵すらかけていなかったのは不自然にもほどがある。
 
猛烈に嫌な予感がしてきて、古座は雪間に言われた通り、悠木のところへ戻ろうとした。

「おやおや、こんなところでどうしたのかな? トイレなら一階だよ」
 
突然、半開きになった扉から声がして、ぬっと人影が姿を現す。古座は踏み出していた足を止め、まずいことになったと唇を噛み締めた。

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