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シリーズ
6
理性を溶かすような濃厚な口づけを交わしながら、雪間は快楽の渦に飲み込まれていった。煮えたぎったように熱い頭は働きが鈍り、正常な判断を下すこともできない。

餌を待つ魚のように口をパクパク開けて、木野井から与えられる快感を享受し、望まれるままの行為をさせられた。

「ひっ、はぁっ、待って、これ以上はああっ! ゆっくり、イきそうだから、ゆっくりしてくれ!」
「イきそうなのにゆっくりした方がつらいぞ。このまま一気にイかせてやる」
「んあああっ、やめっ、おかしくなる! もうやめてくれっ!」
 
雪間は必死に懇願するが、木野井はますます腰の動きを激しくする。奥まで届く陰茎に激しく突き上げられるうち体の芯から熱があふれてきた。

「あぁっ、いいっ、イく! もうイってる! ああああ!」
「だろうな、俺のチンポぎゅうぎゅう締めつけやがって」
 
中からの刺激のみでイかされた雪間は射精しながら自分の腹を汚し、絶え間なく喘いでいた。ずっとこの快楽地獄が続くような気さえする。意識にうっすらと霞がかかり始めた頃、ようやく木野井は雪間の後孔から陰茎を引き抜いた。
 
雪間は息を整えながら額に浮かぶ汗を拭った。さっきまで挿入されていた穴は、大きすぎるものを入れられていたせいで閉じ切らず、ぽっかり開いたような感覚がしている。

「おっ、結構出てるな。見てみろよ、ゴムん中こんなに精子たまってるぞ」
「……もう用は済んだんだろ」
 
精液のたまったコンドームを鼻先に突きつけてくる木野井をにらみ、雪間は起き上がろうとした。だが、木野井はそれを阻止すると雪間を押し倒し、火照った裸体を弄りながら耳元で囁いてくる。

「本当はもっとイきたいんだろ? こんないやらし体しといて一回イったくらいじゃ満足できるはずない」
「そ、そんなこと、んっ……! 待て、もう少し休んでから、んふっ、ふっ、んぅ」
 
まだしゃべっている途中の口は木野井の唇に塞がれ、舌がもつれあう。それだけでは終わらず、木野井の手は雪間体を抱き締め優しく撫で回した。そこに敵意や害意はなく、ただ雪間を気持ちよくさせようとしているだけというのは十分に伝わってくる。
 
体中を巡る快感と木野井の好意に、雪間は駄目だと分かっていても絆されつつあった。そしていよいよわずかな抵抗として木野井を拒むように突き出していた両手も、力なく木野井の胴体へ回された。

「あんなに冷静ぶってた顔もすっかりトロトロになっちまったな。どうせ誰も見てないんだ、もっと素直になってみろよ、秋」
「うっ、あぁっ、やめろっ、下の名前で呼ぶな……!」
「まったく強情だな。でも、そういうところが好きだ。ほら、我慢してばかりじゃ体に悪いからそろそろ入れてやるよ」
 
木野井は雪間を手放すと、再び大きくなった陰茎にコンドームを装着し雪間の後孔にあてがった。
 
体は我慢できないのか、亀頭が後孔に押しつけられただけでキュンキュンとうずいていた。

「入れるぞ」
「うっ、んぐぅっ! ああああ!」
 
あの質量が再び腹を満たす。雪間が目を白黒させているうちに、木野井は雪間を抱き締めながら腰を振り始めた。

ついさっきまでイっていた穴は指で弄られていた時よりずっと敏感だ。そこを激しく刺激されてしまえば、絶頂はさっきよりもずっと早く訪れる。

「あっ、またっ、イく! もういやだ! おかしくなる!」
「そうなったら俺が面倒見てやるよ。怖かったら俺に抱き着いてろ」
 
頭がどうにかなりそうな中、雪間は言われるまま木野井を抱き締める。すがれるものがあれば何でもよかった。
 
嬌声はその後しばらく鳴りやむことはなかった。




雪間が木野井に連れていかれてしばらくたち、閉め切っているはずのこの部屋にも喘ぎ声が届くようになると、古座は胸を締めつけられるような苦しみに耐えかねていた。

さすがに壁や扉を隔てているので生々しい様子までは聞こえてこなかったが、古座の心を揺さぶるには十分だ。

「あいつ喘ぎ声デカいな。家でヤる時もあれくらいうるさいのか?」
 
古座が床に座り込んで頭を抱えるように耳を塞いでいると、隣に立っていた男が意地の悪い笑みを浮かべながらそんなことを言ってきた。いつもなら怒りに任せ殴り倒しているところだが、状況が状況だけにグッと堪え無視を決め込む。

「無視とは感じの悪いガキだな。それにしても、もう二時間はヤりっぱなしなんてお盛んなこった」
「止めてくればいいだろ。こんなの時間の無駄じゃん」
「んなことしたら俺がぶん殴られるだろ。つーか時間かかってくれた方が丁度いいわ。昨日からずっと働き詰めで休憩時間も欲しかったしな」
 
男は眠そうに目をこすりながら緊張感の欠片もないあくびをする。恐らく木野井もこの男と同じように昨日からずっと働いていただろうに、何故二時間もヤりっぱなしでいられるのだろうと、古座は腹立たしい気持ちになった。

そしてよりによってそんな絶倫の相手をすることになってしまった雪間が心配で仕方なくなる。

「女みたいにアンアン言ってるな。声も小さくなってるしこりゃそろそろ限界かな。お前もお別れの挨拶とか考えといた方がいいぞ」
「は? 別れるわけねえだろ!」
「そりゃどうかな? 木野井さんとのセックスが気持ちよ過ぎて、女がいたような奴もセフレになるとか言い出すことあったし、あのすかした野郎もそうなるんじゃねえの?」
「なるわけねえっつってんだろ! 雪間さんはあんな変態の思い通りになんか絶対にならねえ!」
「あ? 今木野井さんのこと変態つったかてめえ?」
「気に入った男連れ込んでレイプする奴なんてどう見ても変態クソ野郎だろうが」
 
それまで古座のことを小馬鹿にしたようにニヤニヤしていた男は、みるみる顔を怒りで染めていく。周囲はやめておけと制止していたが、激怒する男の耳には届かず、伸ばされた腕が古座の胸倉をつかむと無理矢理立たせて壁にその体を押しつけた。

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