[携帯モード] [URL送信]

シリーズ
16
古座は雪間が自分の話を真面目に聞く態勢に入ったのを確認すると、息を整えて、赤らむ顔をシュッと引き締めた。

「俺、雪間さんとちょっとの間だったけど離れてみてよく分かった。俺って雪間さんのこと好きみたい」
 
真剣な表情と相反する他人事のような言動に、雪間はつい肩の力を抜いてクスリと笑った。

「真面目に聞けって言ったじゃん!」
「悪い。大事なこと話してる割に締まらないから、つい」
「ふざけんな、俺がどんな気持ちで告白したと思ってんだよ!」
 
古座は赤らむ顔を子供のように膨らませ、人の話を真剣に聞かない雪間をなじった。古座にとっては一世一代の告白のつもりだったので、軽く流されるとなおさら怒りが湧いてくる。同時にやはり自分では駄目なのかと、あきらめに似た思いもあった。

「やっぱ俺じゃ駄目なんだ……」
 
声を潜め、シュンとしながら古座はつぶやいた。すると目の前にいた雪間の気配が不意に近くなった。何事かと顔を上げようとすると、視界が雪間の着ている青いシャツの生地に埋め尽くされた。体は二本の腕に抱きとめられ、身じろぎもできなくなる。
 
急なことに古座は目を白黒させつつも、自分が雪間に抱き締められていることに気づくと、それに身を委ねた。

「こ、これ、オッケーってこと?」
「どこの世界に抱き締めながら断る奴がいるんだよ」
 
つまり雪間の返事はイエスということだった。古座はしばらくその事実を信じられないでいたが、雪間の力強い腕を肌で感じると、雪間の言葉に実感を持つことができた。

「なんか、変な感じ……昔は雪間さんのこと口うるさくてお節介だなあってしか思ってなかったから」
「俺だってお前のことは世話の焼けるガキだって思ってたよ。今も思ってるけどな」
「だからガキじゃないっての。雪間さんこそ三十路手前のおっさんじゃん。体力も落ちてそうだし、そんなおじさんが俺の相手するのは大変かもなー」
「お前におじさん呼ばわりされる筋合いはない」
 
雪間はムッとした顔をして、抱き締めていた古座から手を離した。するとそれまでイタズラっぽく笑っていた古座は一転して不安そうにソワソワとし始めた。自分の失言で雪間を怒らせてしまったのかと気が気でない様だ。
 
どこか抜けている単純なところが愛おしい。雪間はそれ以上焦らすのをやめ、古座をもう一度抱き締めながらソファーに押し倒した。
 
自分の下で小柄な体が所在なさげにモジモジと動いている様は、雪間の中の悪い気持ちをかき立ててくる。いつも以上にしおらしい、恥じらったような顔をする古座にいよいよ雪間も我慢できなくなってきた。

「珠樹、してもいいか?」
「い、いいけど、それって俺がヤられる側?」
 
雪間がうなずくと古座は納得いかないように眉間へしわを寄せた。

「俺だってたまにはヤる側に回りたいんだけど」
「今日くらい人のことねぎらえよ。ここ最近俺が大変だったのはお前も知ってるだろ」
「ず、ずるいっての。じゃあ次する時は俺と代われよ」
 
念押しする古座を適当にあしらい、雪間は古座の服をめくり上げた。胸のふくらみを優しく指先で撫でると、古座の体は震え、押し殺したような喘ぎ声がかすかに聞こえてくる。雪間の手がさらに下へとさがり、徐々に硬くなり始めた陰茎へ触れると、震えも喘ぎ声も誤魔化しがきかないほど大きいものになっていた。

「んぁっ、ああっ! ゆ、雪間さんっ、もっと優しくしろよ!」
「十分優しいだろ。本当にこういうの弱いんだな」
「強い奴の方が少ないだろ!」
 
文句を言う古座を制し、雪間は古座の下半身を脱がせ露出させた。あらわになった股間は物欲しそうに勃起している。優しく撫でれば古座の口から気の抜けるような喘ぎ声が上がり、雪間の劣情を刺激した。
 
欲望のままに動く手は古座の陰茎を愛撫しながら、同時に後孔へも伸びていく。最初は焦らすように穴の周りを撫で、徐々に指先が中へと入っていくと、その後はスルスルと大した抵抗もなく奥まで挿入することができた。

「なんか……前よりユルくないか?」
「ユルくねえよ! 言っとくけどここんとこ誰ともヤってないからな!」
「分かってる、ムキになるなよ」
 
憤る古座をなだめながら挿入している指を動かすと、すぐに古座は静かになって、喘ぎ声を必死になって押し殺しだした。口を手で押さえながら悶える姿はどことなく背徳的で、雪間はつい夢中になって古座を責めたててしまう。
 
するといくら口を手で押さえていても、甘い喘ぎが聞こえてくるようになった。古座は顔を真っ赤にしながら、首を横に振って「これ以上はできない」と訴えてきている。さすがにこれ以上はつらいだろうと、雪間も挿入していた指を古座の中から引き抜いて、代わりに自分の陰茎を持ち出した。
 
勃起したそれを見るなり、古座はハッとした様子で、期待しているとも怯えているともとれる表情をした。「大丈夫だ」と雪間は声に出して古座を安心させながら、陰茎を穴へあてがう。グッと力を入れるとわずかな抵抗はあったが、すぐに生温かい穴の中へと飲み込まれていった。

[*前へ][次へ#]

17/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!