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シリーズ
5
「先輩が逃げ出したのが三年前でしたっけ? 三年の間に色々あったみたいですね。あんな年下の相方君までつくっちゃって。ずいぶんと仲がよろしいみたいじゃないっすか」
 
どうやら赤尾は古座のことを言っているらしい。雪間は無言を貫くが、赤尾の言葉に乗せられないようにするので精いっぱいだった。

「ま、今後は俺と仕事してもらいますからね。そうなったら相方君ともコンビ解消っすね」
「……それは、まだ分からない」
「なんかつまんないっすね。昔だったらもっとブチ切れてたじゃないですか」
 
不満顔の赤尾を見ながら、雪間は肝を冷やした。独り身だった昔ならばいざ知らず、今は古座と言う存在があるのだ。

仮に赤尾の機嫌を損ねるような真似をすれば、この件には無関係な古座にまで赤尾の悪意が向くかもしれない。それだけは避けたいと、雪間は赤尾の顔色をうかがっては、これからどうすればいいのかと必死になって考えた。

「あーあ、なんか気分が盛り下がってきちゃいましたよ。とりあえず先輩、前みたいにしゃぶってくださいよ」
 
侮辱的な言葉を受けながらも、雪間はすっくと立ち上がり、赤尾の隣へと歩み寄った。オフィスチェアに深々と腰を据える赤尾は雪間を見上げながら、満足そうにしている。
 
雪間の脳裏に三年前の出来事が、まるで昨日のことのようにありありと浮かび上がった。

自分のパソコンにいつの間にか入っていた見慣れぬファイル。中身は持ち出し厳禁のはずの顧客の名簿で、いつの間にかそれが自分のパソコンに入っていた。そのことに驚いていると、まるで謀ったかのようなタイミングでそれを赤尾が目撃する。
 
データを盗もうとしていたと誤解され、赤尾から「バラされたくなかったら」と脅迫を受けた雪間が一番に命令されたのが、このひざまずいた体勢でのフェラだった。

「三年も先輩に処理してもらえなくて、すっごい寂しかったんですよ」
 
赤尾が軽口をたたきながらジッパーを下ろして下着を脱ぐと、まだ萎えたままの陰茎が目の前に現れた。雪間は一瞬の葛藤ののち、無言のままそれを頬張った。
 
生温かいものが口内を埋め尽くし、軽い塩気が舌を刺激する。萎えたままの陰茎は柔らかく、フニャフニャとした感触だったが、口の中で弄んでいるうちに段々と硬くなってきた。

「久しぶりだとこんなもんですかね。もっと頑張ってくださいよ」
 
赤尾のヘラヘラした笑い声が頭上から聞こえてくるが、雪間は頭を上げることもできず、黙々と奉仕した。陰茎は時を追うごとに硬さと質量を増し、今では完全に勃起して雪間の気道を塞がんばかりになっている。
 
ふと、頭を撫でられる感触がして、雪間はそれまで閉じたままだった目を薄く開き、視線を上へと向けた。こちらへ手を伸ばしている赤尾の姿が目に入る。その顔は雪間のことをせせら笑い、満足げに鼻を鳴らしていた。
 
整えていた髪をわざとかき乱すように頭を撫で回してくる赤尾の手は、徐々に後頭部へと回ってきた。何を探るような手つきに、雪間が不穏な空気を察したとき、それを見計らったかのようなタイミングで赤尾の手に力が加えられた。

「う゛っ、んぐっ! んううっ!」
 
容赦なく喉の奥まで突き立てられる陰茎が、雪間の呼吸を著しく阻害する。頭を押えつけていた赤尾の手はいつの間にか片手から両手に変わり、乱暴に雪間の頭を揺さぶっては物のように扱った。

「吐かないでくださいよ。掃除するの大変なんですからね」
 
込み上げてくる吐き気を見透かしたかのように、赤尾は声をかけてきた。雪間は目に涙を浮かべながら、何がなんでもそれをこらえようとした。
 
だが時間が進むにつれ、赤尾の陰茎の先からにじむように出てくる先走りらしきものの味が、雪間の口に広がっていく。嫌に塩気のあるその味は、雪間の不快感を煽った。もう限界だ、雪間がそう思ったところで、頭を揺さぶっていた赤尾の手に一層力が入った。
 
喉の奥まで入っていく陰茎は、まるで一種の独立した生き物のようだった。心なしかピクピクと動いているような気さえして、雪間は不快感に眉をひそめる。

「先輩、ちゃんと飲んでくださいよ」
 
赤尾が言い終わらぬうちに、雪間の口内に精液が放たれた。喉へ直接流し込まれ、反射的に喉は大きく動きながらその精液を一滴残さず飲み込んでいく。
 
久々に雪間の口を使ったので、出す量も多かったのか、赤尾の射精は普段よりもずっと長かった。

それだけに雪間の負担はかなり重いものになり、ようやく射精が終わって口から陰茎が引き抜かれた頃には、雪間は涎でベトベトになった口の周りを手で押さえ、肩で息をしながらその場でうずくまってしまった。

「久しぶりだったからすっごく出ちゃいました。先輩も俺の精液おいしかったですよね?」
「ゲホッゲホッ……ハァ、あ、あんなもの、気持ち悪いだけだ」
「そんなこと言ってるわりに全部飲んでくれたじゃないっすか。あーあ、それにしても情けない顔っすね。涎べっとべとっすよ」
 
赤尾は笑いながら携帯のカメラをこちらへ向けるが、雪間は顔を隠す余裕もなく、情けない姿を写真に収められてしまう。

「ハハ、久しぶりに面白い写真撮れましたよ。それじゃ、続きは夜にでもしましょーね。ホテルだったら先輩のうるさい喘ぎ声も問題ないっすからね」
 
雪間は赤尾の言葉に反論することもできず、無言で口元を拭っていた。

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